建築現場のコンクリート技術


はじめに
 現代の建築現場では、必ずコンクリートが使用され、建築に携わる技術者は、コンクリートについて学校で学び、また各種資格取得を目指す際に勉強しているわけですが、現実に現場で現物を見ると、判断に迷うこともあります。その経験を積み重ねることによって、初めて一人前の技術者に成長していくわけです。
 建築の技術者は、仕事が忙し過ぎて、勉強時間を確保しにくい場合が多いです。疑問に思っても、すぐに調べられない場合、教えてもらう適切な人がいない場合もあります。ベテランと呼ばれる年齢になりますと、今さら人に聞くこともできません。
 本書は、建築の基本であるコンクリートに絞って、技術者として知っておくべき知識、さらに建築紛争に対処するための知識を提供しています。忙しい仕事の合間に目を通していただくことで、もっている知識の再確認、新たな知識の吸収に役立つものと思います。
 建築業界に入ると、多くの建築主と接することになります。その過程で、多くの職種の、多くの職方とも接します。工事監理者は、建築主・職方に対し、それぞれ適切な説明を行い、説得する必要があります。
 建築は必ず、材料誤差・施工誤差を伴い、バラツキがありますが、遵守すべき基準も多くあります。基準を知った上で、妥当な判断を行わなければなりません。より妥当な判断ができる技術者になってほしいと願って、本書をまとめました。これを契機に、さらなる向上をし、有能な技術者に成長してほしいと願っています。