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建物の汚れ

トラブル事例と解決策



あとがき




 早いものです.阪神・淡路大震災を体験して,早くも5年の歳月が過ぎました.ところが,復興となると遅々として思うようには進まないようです.この間,景気の低迷や地球環境問題の影響から,工事発注者は建物の長寿命化,ライフサイクルコストの低減に関心を寄せています.建築業協会でも,建物長寿命化特別委員会を発足させました.しかし平成不況の最中,10年もてばよいとされる建物が生まれているのも事実ですが,過半の人々は「スクラップアンドビルド」の時代から「長寿命化」の時代に移行すると考えています.
 さて,長寿命化の課題に「耐久性」と「汚れ対策」があります.耐久性能に対しては,優れた建材や部品などの技術開発が進んでいます.一方「汚れ」については,清掃や改修など,ほとんど事後処理にとどまっています.しかし実際に汚れの原因を考えると,環境,デザイン,材料の使い方などさまざまなものが影響し,計画次第で「汚れ」を防止できることも多いのです.
 わたしたちは,日頃,トラブルを起こすとイエロー(レッド)カード,保全情報,瓦版などニュース速報を流し,再発防止に役立てています.今回,関西での施工物件から集めた情報を皆さんに知っていただこうと編集しましたのが,本書です.事例は率直にお伝えしたつもりです.
 ただ建築主への配慮,あるいは各社社内標準にも差異があり,自ずと最大公約数的にまとめられたことはご了解ください.
 これらの資料が「設計の不手際,施工のミスで起こる汚れは出さない」という意識,啓蒙につながれば幸いです.「汚れ」とうまくつきあうディテール,汚れに強い建物を目指してほしいと願うものです.
 最後に,協会事務局の宮竹正次氏,学芸出版社編集長吉田隆氏・知念靖広氏に根気よくおつきあいいただきましたことを感謝申し上げます.

 「建物の汚れ」編集委員会一同  



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