建築計画〈第二版〉
〈わかる建築学1〉

 建築計画について多くの書籍が既にある.さて何から読み始めれば良いのか.
 建築計画とは何か,と構えて問いかけると「建築とは」という大きな問題にまで発展してしまう.
 具体的には何が問題なのかというと,標題に「建築計画」とある書籍を開いてみれば,規模や寸法や動線など,そして住宅・学校・病院などの項目が並ぶ.さらには設計につながる建築計画となると,建築設計資料という膨大なデータがある.
 このような知見と事例の蓄積をもとに,本書は建築計画の入門書として,総論,施設計画,各部計画の3部から構成した.建築計画分野の基礎知識をそれぞれの専門家がわかりやすく簡潔に解説することをこころがけた.
 T部の「総論」では,建築計画の成り立ちについて,歴史的観点とその対象となる事項の現況から概説している.U部の「施設計画」では,住まう・集う・学ぶ・癒す・働く,という五つの施設系に大別して章立てをし,各施設の歴史や背景とともに,施設計画に関わる基礎的な知識をまとめている.加えて執筆者の視点から施設計画の課題を示している.V部では,各種建築物に共通する事項を「寸法・尺度」「安全・バリアフリー」「防災・避難計画」「細部計画」に分けて解説している.
 本書の特色として言えることは,建築計画学と各施設系について,その背景と歴史,沿革を丁寧に解説し,基礎知識の認識を深めたことがある.
 各章の終わりには理解度を高めるための練習問題,15章には各章にまたがる総合的視点を加えた演習問題を設けている.有効に活用していただければ幸いである.
 本書をまとめるにあたり,先行する研究,書物から多くの事を参考にさせていただいた.末尾ながら記して謝意を表したい.

執筆者一同