初めて学ぶ住居学


まえがき


 西日本工高建築連盟では、高等学校で建築を学ぶ生徒が自主的に学習を行い、建築に関する基礎知識を修得するための手引き書となるよう、「建築のテキスト」編集委員会を組織し、1996年に「初めての建築」シリーズ第一弾として「建築環境」「建築一般構造」「建築構造設計」「建築積算」「建築製図」を発刊した。その後、2000年にシリーズ第二弾として「建築計画」「建築構造力学」「建築材料」「建築施工」「建築法規」「建築設備」「建築CAD」を刊行し、全12巻の「初めての建築」シリーズが完結した。
 第一弾の発刊から十余年が経過し、地球温暖化をはじめとする環境問題の深刻化、少子高齢化の進行、ノーマライゼーションの進展など社会状況の大きな変化があり、また、建築関係法令の改正、JIS建築製図通則の改正、教育システムの改変などを受けて、「初めての建築」シリーズの補完が強く望まれていた。
 西日本工高建築連盟では、新たに「建築のテキスト」(第二次増補版)編集委員会を組織し、「建築製図」「建築コンペ・卒業設計」「建築計画」「住居学」の4巻を「初めて学ぶ建築」シリーズとして刊行することとなった。
 内容は、前シリーズと同様、高校生はもとより、専門学校、短期大学、大学の建築関係の学生から若い実務者に至るまで、幅広い読者層を考慮するものとなっている。
 「建築製図」は、最新のJIS建築製図通則に準拠し、木構造(住宅)、鉄筋コンクリート構造(大学同窓会館)、鋼構造(事務所)の各種図面の描き方を2色刷で示し、模型写真や立体図を使って分かりやすく解説している。
 「建築コンペ・卒業設計」は、建築設計競技や卒業設計を行う上で必要な、課題分析、エスキース、プレゼンテーションなどの各プロセスの手法を、多くの写真・図版・実例を用いてていねいに解説している。
 「建築計画」は、建築と風土、都市、文化、歴史などの建築計画の背景、および環境工学、規模計画、デザイン要素、サステイナブル建築などの建築計画の基礎知識の修得を主目的とし、手法の具体例として住宅の計画の進め方を示している。
 「住居学」は、住まいを「地球・都市・まち」の環境の中に位置づけ、住まいの防災・防犯・長寿命化、こころとからだのここちよさ、誰もが使いやすい住まいなどについて、やさしく解説している。

 本シリーズは、日頃、建築教育にたずさわる本連盟の会員が知恵を出し合い、多くの図版を用いて初学者の皆さんが楽しく学べるように工夫し、編集したものである。皆さんが多少の努力を惜しまず根気よく学べば、建築に関する基礎知識が必ず修得できるものと確信している。
 本シリーズ発刊にあたり、貴重な資料の提供と適切な助言を賜った皆様に、深い感謝の意を表します。また、出版をお引き受けいただき、執筆・編集にあたり積極的な助言をいただいた滑w芸出版社社長をはじめ編集部の皆様に厚く御礼申し上げます。

「建築のテキスト」(第二次増補版)編集委員会