福祉住環境コーディネーター2級予想問題集
問題と解答例
問題例
【第8問】(10点)
次のア〜オの設問に答えなさい。
ア.次の(1)〜(5)の記述のうち、最も適切なものを一つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。
(1)建築基準法の規定は、生活環境を守るための必要かつ十分な条件であり、人間としてより豊かな住環境をつくるためには、この要件を厳守することが大切である。
(2)見積りとは、設計者が作成するもので、設計図書等からその建物を新築・改築したり、改造するのにどの程度費用がかかるかを工事区分別に示すものである。
(3)床暖房には床下にパイプを敷設し温水を循環させるもの、オイルを封印したパイプをヒーターで暖めるもの、また電熱体そのものが直接床材に入っているものがある。
(4)洗い落とし式便器とは、旧来からあるタイプの洋式便器で、低い水圧と少ない水量で汚物を洗い流すものであり、便器自体もコンパクトである。
(5)居室とは、居間、食堂、台所、トイレ、寝室等をいい、居室でないものは玄関、廊下、浴室、洗面所、納戸等をいう。
イ.次の(1)〜(5)の記述のうち、最も適切なものを一つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。
(1)建築基準法の関係法規は「同施行令」が主なものであり、その他「都市計画法」や「消防法」、そして各都道府県の条例などさまざまな法規が関連している。
(2)建築物が建つことによって、敷地周辺にできる影を規制する「日影規制」は、夏至における午前8時から午後4時までの間にできる建築物の影をもとに算定される。
(3)仮設工事における仮設物とは建築後は撤去されるものであるが、代表的なものは「足場」である。ほかに現場で使用する用水、電力などの費用、完成まで建材や建具を保護するための「ならし」を含め、仮設工事は全工費の約3%にあたる。
(4)特に新陳代謝の少ない高齢者や障害者の健康のためにも、居室においても継続的に換気ができる設備を設けることが望ましい。換気装置には冷暖房の効果を落とさない「熱交換式」がある。ただし、最近ではこれらの点に配慮し、住宅の密閉性が低くなってきたので、問題は少ない。
(5)2階以上の住宅で、最上階以外に台所を設けるときは、壁と天井の仕上げ材を耐火構造、もしくは準耐火構造としなければならない。
ウ.次の(1)〜(5)の記述のうち、最も適切なものを一つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。
(1)パネルヒーターは薄いパネル状の器具の中にヒーターとオイルが入っていて、オイルが暖まり、その輻射熱により暖房するため、広めの居室等には有効であるが、トイレや浴室といった狭い場所には有効でない。
(2)電気による居室暖房は、室内に一酸化炭素を放出しないうえ、酸素消費もないため、特に換気設備がなくても快適である。
(4)積算にあたって、部材や人件費について毎月「積算資料」というかたちで「標準価格」が示されるため、通常は同じ図面によって積算すれば、出される見積額は同じになる。部材や人件費の単価は地域によって多少異なることはあるが、大きく影響することはない。
(4)用途地域によって、建てることができる高さが規定されており、また高さだけでなく道路や隣地に接する部分については、敷地や道路の状況によって斜線状に制限が加わる。これを「用途制限」という。
(5)ダイニングキッチンのように、台所と食堂が一体となっている場合は、食堂部分も含めて内装材の規定が適応される。ただし、台所部分の天井から350mmの垂れ壁を設ければ、内装制限はその部分まででよいことになる。
エ.次の(1)〜(5)の記述のうち、最も適切なものを一つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。
(1)サイホン式便器とは、洗い落とし式の便器のように水圧で洗い流すのではなく、流した水によって押し出された水が、排水パイプの中で真空状態をつくり、水のたまっていた部分を汚物と共に引き込んで流し込む原理である。
(2)仕上げに関する工事には、屋根、外壁、金属建具、木製建具、タイル、左官、塗装、内装工事があり、これらは全工費の約50%を占める。
(3)床暖房では、表面温度の上がりすぎることがあり、高齢者や皮膚感覚に麻痺がある人が、長時間姿勢を変えずに座っていると、高温やけどなどになることがあり、注意すべきである。
(4)建築基準法では居室として使用される部屋の天井高は、3,000mm以上なければならないとされている。これは適度な空気の循環と、居室に必要な空気の量を確保するための最低条件であり、視覚的にも快適な住空間を確保することにつながると考えられている。
(5)用途地域は大別すると、市街化を抑制する「市街化制御区域」と、市街化を図る地域として規定され建築物を建てることができる「市街化促進区域」に分けられる。
オ.次の(1)〜(5)の記述のうち、最も適切なものを一つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。
(1)道路に接していない敷地に建築物を建てることはできない。道路とは幅が4m以上のものをいい、また接する幅も4m以上必要である。ただし、既存の道路で特別に指定されたものについては4m未満でも道路とみなされる。
(2)木造では1階部分における居室の床面は、その直下の地面から450mm以上はなれていなければならないとされているが、基礎をすべてコンクリートなどで覆う「布基礎」のように防湿処理がされていれば、床高さについては特に制限されない。
(3)わが国ではこれまで脱衣室を含む浴室が暖房の対象となることは少なかった。そのため住宅の浴室などに設置できる耐湿、耐水性能のある日本製の暖房器具は少ない。
(4)容積率の算定にあたって、建築物内に設けられた車庫については、車庫部分の面積が、車庫を含めた延べ床面積の1/8以下であれば、車庫の部分は容積率の計算のための延べ床面積からは除外される。
(5)住宅では一つの居室についてその居室の床面積の1/5以上の採光のための窓の面積が必要である。したがって居室において採光のない部屋は認められない。
解答と解説例
【第8問】
ア.正答(3)
(1)×:建築基準法の規定は、最低限の生活環境を守るための条件であり、人間としてより豊かな住環境をつくるためには、この要件だけを厳守していればよいというものではない。
(2)×:見積りとは、施工者が作成するもので、設計図書等からその建物を新築・改築したり、改造するのにどの程度費用がかかるかを工事区分別に示すものである。
(4)×:洗い落とし式便器は、高い水圧と相当の水量で汚物を洗いながすものである。便器自体は比較的コンパクトだが、水を流す音が大きく、必要水量も多い。
(5)×:居室とは、居間、食堂、台所、寝室等をいい、トイレは居室に含まれない。
イ.正答(1)
(2)×:日影規制は冬至における午前8時から午後4時までの間にできる建築物の影をもとに算定される。
(3)×:仮設工事には完成まで建材や建具を保護するための「養生」がある。
(4)×:最近の住宅は密閉性が高くなっている。
(5)×:2階以上の住宅建築で、最上階以外に台所を設けるときは、壁と天井の仕上げ材を不燃材、もしくは準不燃材としなければならない。
ウ.正答(2)
(1)×:パネルヒーターはトイレや浴室への設置に有効である。
(3)×:積算にあたって、「標準価格」が示されているが、現実には地域によって、部材や人件費の単価が大きく違う。
(4)×:用途地域によって、建てることができる高さが決められているのは低層住居専用地域のみで他の用途地域には絶対高さの規定はない。また敷地境界線から斜めに建築制限線を設定しているのは「斜線制限」である。
(5)×:垂れ壁の天井からの幅は500mmである。
エ.正答(1)
(2)×:仕上げに関する工事には、屋根、外壁、金属建具、木製建具、タイル、左官、塗装、内装工事があり、これらは全工費の約35%にあたる。
(3)×:床暖房では、表面温度の上がりすぎによる低温やけどに注意すべきである。
(4)×:居室として使用される部屋の天井高は、2,100mm以上なければならないとされている。
(5)×:市街化されることを抑制する区域を「市街化調整区域」。市街化を図る地域として規定され建築物を建てることができる区域を「市街化区域」という。
オ.正答(3)
(1)×:「道路」とは幅が4m以上のものをいい、また接する幅も2m以上なければならない。
(2)×:基礎をすべてコンクリートなどで覆う基礎を「べた基礎」という。
(4)×:車庫部分の面積が、車庫を含めた延べ床面積の1/5以下であれば、車庫の部分は容積率の計算のための延べ床面積からは除外される。
(5)×:住宅では一つの居室について、その居室の床面積の1/7以上の採光のための窓の面積が必要である。1/5以上は、幼稚園や小中高等学校等の教室に必要な採光面積の割合である。
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