福祉住環境コーディネーター2級予想問題集

はじめに


 新しい世紀のはじまりである。人類の未来を象徴する理想的な生活環境の創造が実現できるかどうかは、まだ定かではないが、確実に言えるのは本格的に到来した超高齢社会への具体的な備えが早急に必要なことである。少数の弱者対策としての福祉施策ではなく、すべての人を対象とした社会づくりとして、私たちはこれまでの取り組みをいくつかの面において軌道修正しつつある。施設収容型の福祉から、在宅中心で地域とのつながりを考慮したまちづくりへの転換が、今各地で展開されようとしている。高齢者のイメージもこれまでと異なり幅広く描かれ、多様な生活スタイルや価値観に対応した生活環境が求められようとしている。

 このような社会動向の中で、2000年4月から実施された介護保険制度も新しい高齢社会構築のひとつの柱として本格的な運用が期待されているが、その円滑な運用のためには住環境の社会的整備が基本的に必要であり、中でも具体的な空間的整備が求められる。

 その整備をより具体的に効果的に進めるためにも、これらを担う人的資源の整備と活用が必要である。より高度な知識や技術も必要であろうが、社会全体の考え方を見なおし、共に生きる社会環境の創造が求められる。

 このような時代背景を受け、高齢者をはじめすべての人々の生活を住環境という側面からサポートしていく専門職を求める社会に応えるべく創設された福祉住環境コーディネーター検定試験も、3級に引き続き2級がはじまり、より専門的かつ広範な知識や技術の裏付けのもとに実践的な対応を求める試験内容になっていると言える。

 本書は福祉住環境コーディネーター2級試験の「専門的用語」や「実践的事例に即した対応や考え方」といった出題傾向をふまえ、より具体的な受験対策を目指し、つぎのステップを目指そうとする皆さんに向けて編集を試みた。各ページの要点欄も有効に活用し、これまでの勉強の成果をより一層発揮するようにしていただきたい。また、関連する項目についてさらに理解を深めたい方は、あらためて関係する参考書やテキストを再読の上、要点を再点検しておくことをお勧めする。

 本書を有効に活用され、一人でも多くの方が福祉住環境コーディネーター2級試験に合格されることを願うと同時に、受験準備だけではなく、これからの私たちの生活環境をよりよいものにするためにも、より多くの人が福祉と住環境について考え、学び、それを社会の中でいかしていただく糸口になれば幸いである。

 最後に、本書の出版にあたり、資料の整理などの作業に尽力頂いた老田智美氏をはじめ多大な協力をいただいた方々と、編集に携わっていただいた学芸出版社の前田祐資氏に厚く感謝申し上げます。

 また予想問題集という性格から、この検定試験の公式テキストである『福祉住環境コーディネーター検定試験2級テキスト』(東京商工会議所発行)や過去の問題を参考にさせていただきました。重ねてお礼申し上げます。

 2001年2月
田中 直人


学芸出版社
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