【第1問】(10点)
次のア〜オの設問に答えなさい。
ア.次の(1)〜(4)の日本の住環境の一般的な特徴を示す記述のうち、正しいものを一つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。
(1)日本の住宅は「夏に合わせて」造られているために、冬の寒さが厳しい。特に居室と浴室やトイレなどの湿度差が大きいために問題がある。これらは、高齢になった場合や障害をもった場合にはさらに大きな問題となる。
(2)住宅内のあちこちに段差が多いと、高齢者の生活動作を著しく不便・不自由にし、ときには転倒事故の原因になる。
(3)和室や和式トイレなど和風の生活様式は、高齢者の身体機能になじみやすく今後も取り入れていくべきである。
(4)廊下、階段、開口部等の幅員については尺貫法の時代に多用された幅員が設計者の常識となっているが、この幅員は介助を必要とする高齢者、福祉用具を使用する高齢者や障害者の室内移動にも適している。
イ.次の(1)〜(4)の福祉住環境コーディネーターの役割と機能と職業倫理を示す記述のうち、正しいものを一つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。
(1)高齢者、障害者を重点的な対象として、その自立と尊厳ある生活を住宅という切り口を出発点として、できることから支援する。
(2)常に介護者の視点に立って、それぞれの人がおかれている状況に合わせて「何が最適な住環境か、現状の問題点は何か」を見つけ出し、介護者自身が気付いていないニーズを明らかにし、具体的な住宅改造で改善を図るところに存在意義がある。
(3)生活者の視点からニーズを探り、住宅、製品、サービスに関するニーズをサービスを提供する側に伝え、具体的な物やサービスに反映させる。
(4)福祉住環境コーディネーターは保健・医療・福祉の各分野でそれぞれに活躍できる。病院、老人保健施設、老人ホームや住宅介護センター、訪問看護ステーション、クアハウスなどにおいて、高齢者や障害者の介護・介助支援の実務に携わり、職業として支援にあたることができる。また建築分野においては、住宅や施設の設計の際に介護や福祉の視点からのより適切な設計に貢献できる。
ウ.次の(1)〜(4)の記述のうち、正しいものを一つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。
(1)高齢者は自身の体の状態について専門的な知識もなく、時には見栄で嘘をつくことも多いので、介護に関係する専門職は自分の判断で指示や命令をしたり、思想やサービス計画等を示すことも、時には必要であり、これも「自立」を支援していることにつながる。
(2)1968年に制定されたアメリカの建築障害撤廃法は世界最初のバリアフリー法で別名ADAとも言われている。
(3)日本では、1993年の「社会福祉基本法」や、障害者対策推進本部により策定された1995年の「障害者プラン〜ノーマライゼーション7か年戦略」により、ノーマライゼーションの思想に基づき、障害のある人々が社会構成員として地域で共に生活がおくれるように、質の高い生活(QOL)の実現に向けて施策が展開されつつある。
(4)リハビリテーションは、機能回復という意味から出発し、今では障害者の置かれている社会的現状と身体的状況の調整や発達をめざす専門的な援助として理解されるようになっている。
エ.次の(1)〜(4)の高齢者の特性を示す記述のうち、正しいものを一つだけ選び、解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。
(1)加齢とともに睡眠障害、不眠、早朝行動が増す。その結果、昼間も眠たく生活リズムが不規則となる。高齢者の早朝行動は、介護への支障、転倒の可能性の点で大きな問題となる。
(2)加齢とともに肺や胸郭の弾性力が低下する。そのために肺活量や最大呼吸量が大きく低下し、肺における酸素と二酸化炭素の交換の効率も低下する。また肺炎が起こりやすくなる。
(3)高齢になると運動神経の刺激伝導速度が低下するため、瞬発力や敏捷性が低下し、敷居やじゅうたんなどにつまずきやすくなる。これは転倒の原因となる。
(4)高齢になると一般的に自己の価値観に固執することが多くなり、それを守るために外向的で攻撃的、そして用心深く慎重になる。