このような社会動向の中で、2000年4月から実施された介護保険制度も新しい高齢社会構築のひとつの柱として本格的な運用が期待されているが、その円滑な運用のためには住環境の社会的整備が基本的に必要であり、中でも具体的な空間的整備が求められる。

　その整備をより現実的に効果的に進めるためにも、これらを担う人的資源の整備と活用が必要である。より高度な知識や技術も必要であろうが、社会全体の考え方を見なおし、共に生きる社会環境の創造が求められる。

　福祉住環境コーディネーター検定試験はこのような時代背景を受け登場した検定試験制度であり、高齢者をはじめ、すべての人びとの生活を住環境という側面からサポートしていく専門職を求める社会に応えようとして創設されたものである。

　本書はこの検定試験をめざして勉強する人たちが、基礎的知識や情報を整理するために参考になることを期待して編集した。

　そのため福祉住環境コーディネーター3級試験の出題内容の傾向をふまえ、\g問題を解き、解答と解説を参照することで、これまでの学習成果を自分で確認できるように構成している\g。さらに関連する事項のポイントについて、各ページに紹介し、直前のまとめの段階において学習成果の呼び起こしに役立てていただこうとしている。

　関連する項目についてさらに理解を深めたい方は、あらためて関係する参考書やテキストを再読の上、要点を再点検しておくことをお勧めする。

　本書を有効に活用され、一人でも多くの方が福祉住環境コーディネーター検定試験に合格されることを願うと同時に、受験準備だけではなく、これからの私たちの生活環境をよりよいものにするためにも、より多くの人が福祉と住環境について考え、学び、それを社会の中でいかしていただく糸口になれば幸いである。

　最後に、本書の出版にあたり、資料の整理などの作業に尽力頂いた老田智美氏をはじめ多大な協力いただいた方々と、編集に携わっていただいた学芸出版社の前田裕資氏に厚く感謝申し上げます。

　また予想問題集という性格から、この検定試験の公式テキストである『福祉住環境コーディネーター検定試験３級テキスト』（東京商工会議所発行）や過去の問題を参考にさせていただきました。重ねてお礼申し上げます。

　2000年9月