一級建築士合格戦略 製図試験のウラ指導 2015年版


まえがき


自己紹介


 一級建築士受験支援サイト「教育的ウラ指導(以下,ウラ指導)」は,平成11年からスタートします.当時,私達も受験生でした.「一級建築士試験は,資格の専門学校等に通わないと合格できない試験である」という認識が当たり前だった時代でした.けれども,受験生同士で協力し合えば,独学でも必ず合格できるのではないか,と考え,インターネット上にホームページを開き,全国の受験生へ向けて,「一緒に勉強しませんか?」と呼びかけてみることにしました.それが,「ウラ指導」の始まりです.もともとは,学科試験対策サイトでしたが,「学科試験同様,製図試験対策も始めて欲しい!」といった相談を多くの受験生達から受けたため,製図試験対策もサポートすることにしました.

ウラ指導の製図試験対策


 私達,「ウラ指導」の製図試験対策は,まず最初に,学科試験対策同様,受験生達の生(ナマ)の声を集めることから始まります.受験生達の生(ナマ)の声を集めることによって,製図試験の全容を自分達の力で解き明かしていくことが狙いです.製図試験の全容を解明するため,私達が,一番最初にしたことは,再現図面展(通称:ユーザープランニング)です.ユーザープランニングとは,試験本番に作成した図面の再現図を集め,それらをインターネット上で公開(参加者限定)し,専用掲示板で自由に意見交換するといった企画です.日本全国から200枚を超える再現図が集まり,また,合格発表後に,各図面の合否も明らかに出来たため,製図試験の真相解明に非常に大きな成果を挙げました.

 ユーザープランニングによる検証を経て,私達は,一つの結論に至ります.それは,「試験元は,明らかに,ホンモノのプランニング能力を有する受験生だけを合格させようとしている」ということです.だとしたら,どういった試験対策が最も有効な方法と言えるのか? 私達は,試行錯誤を繰り返しました.その結果,「模範解答例作り」という画期的な学習方法を編み出します.この指導方法は,早い話が,「受験生のプランニング能力を,自分で課題文が作れるレベルになるまで引き上げる」というものです.インターネット上の世界だけにとどまらず,札幌,東京,大阪,博多,広島,鹿児島の各地域で,「模範解答例作り」の講習会を重ねました.その結果,「模範解答例作り」の話は,口コミで広がり始め,課題文を作れるようになった受験生が続出しました.飲み込みの早い受験生であれば,2日間程度の講習で,完全に「模範解答例作り」をマスターしてしまいます.
 「模範解答例作り」を通して,「今回は,映画館を設計してみよう!」とか,「プラネタリウムってどんな風に設計するの?」といった具合に,受験生の気持ちの中に,建物を計画することに対する親近感が芽生え始めます.建築雑誌や,設計資料集成を眺める機会も自然と増え,実際の公共建築を見学してみたり,他の受験生が作成した様々な模範解答例に触れていくことで,プランニングという行為そのものに自信が沸き,プランニングすることに,楽しみを感じれるようになっていきます.そうなったとき,その受験生には,「ホンモノのプランニング能力」が確実に備わっています.合格まで導くことは,もちろんですが,私達は,そういった受験生を一人でも多く輩出していきたいと考えます.
2015年5月
荘司和樹