一級建築士試験 建築法規のツボ


はじめに

 年々難しくなっている一級建築士試験。「法規」は、他の学科と異なり、法令集の持ち込みが許されています。そのため、暗記や受験対策をそれほどしなくても済む科目であると思われがちです。しかし、語句や数値等の細部を問う問題に関連した条文を法律用語で記載された法令集から見つけ出すのは大変難しいものです。法令集を一読してみても、難しい用語が多く使われているばかりでなく、文章も極めて難解です。試験に合格するためには、この法規をどのように勉強すればいいのかと日々悩むところではないでしょうか。
 そこで本書では、筆者が20 年余り大学で教鞭をとってきた経験に基づき過去問題を徹底的に検証し、簡潔に要約し、過去に出題された内容を重点的に解説しました。問題の事項が法令集のどこに規定されているかを知ってもらう羅針盤のような役割を果たせればと願うものです。即ち読者が試験の設問において「この内容が法令集のどのあたりに載っているか」を必ず分かっている状態になっておく。これが、本書の願う一番の役割であり、法規の新しい問題が出題されたときの対策にもなると考えます。
 試験では例年、「総則⇒確認申請⇒耐火・防火⇒避難⇒建築設備⇒避難⇒構造⇒道路⇒用途制限⇒建蔽率⇒容積率⇒高さ制限⇒地域地区・建築協定(以上20 問)⇒関連法規(10 問)」の順で出題されます。そして、関連法規として建築士法、建設業法、都市計画法、消防法、高齢者移動等円滑化法、耐震改修促進法等が出題されていますが、比較的基本事項に限られています。
 一級建築士試験は難しいと言われていますが、「法規」は唯一満点を狙える科目です。できる限りまとまった勉強時間をしっかりと確保し、本書を繰り返し活用されることこそ合格への早道ではないかと考えます。ご健闘をお祈りします。

2018年3月
小嶋和平