二級建築士試験 構造力学のツボ


まえがき

 二級建築士試験は、小規模の建築物や住宅などの設計・工事監理を行う技術者のための都道府県が実施する試験である。
 二級建築士試験に合格するためには、“苦手科目を作らない”ことが重要である。
 そのためには、各科目まんべんなく得点することが大切となる(各科目には足切りが設けられている)。しかし、学科?の構造力学の分野を最も苦手とする受験者は多い。
 構造力学の分野は、例年7問が出題され、この7問の得点なくして合格できるかといえば、それは無理である。例年、多少の出題順序は変わるが、次のパターンで出題されることが多い。
 第1問:力のモーメント、偶力のモーメント、力のつり合い、分布荷重の合力など
 第2問:断面の係数の分野………断面二次モーメントに関する問題が主である。
 第3問:応力度、許容応力度の分野……梁の曲げモーメントや曲げ応力度が主である。
第4問:静定梁の分野……………梁の曲げモーメントを求める問題が多い。
第5問:静定ラーメンの分野……静定ラーメンの反力や曲げモーメントを求める問題。
第6問:静定トラスの分野………特定の部材の軸方向力を切断法で解く問題が多い。
第7問:座屈に関する分野………座屈長さ、弾性座屈荷重および座屈長さと断面二次モーメントの関係などが出題されている。
 本書は、この7分野を克服するため、基本的な事項から順にレベルアップが図れるように系統立った構成とし、徹底してやさしく解説した。
 本書の特徴としては、「必ず覚える! 公式〇〇」、「必ず覚える! 重要事項」、「POINT」「MEMO」など構造力学を解くのに必要な公式や重要事項などを覚えるべき要点として掲げた。これらを暗記することによって、問題解決の糸口を掴むことができると確信している。
 次に、「解き方の手順」と題して、その項目の要点を整理し、問題解決の手順の“コツ”として示した。出題例の問題の意味をつかみ、どのようにして解くかを理解するために、この解き方の手順を繰り返し、繰り返し読み返して、その後、過去問に挑戦し、解答を自分のものにすることによって、苦手としていた構造力学の分野を得意分野に変え、学科?を克服してほしい。
 本書では、これらの内容をまとめて“構造力学のツボ”とした。“ツボ”を押さえた学習をすることによって、構造力学の全問正解を目指し、かつ、合格ラインに達するまで学習を押し進めれば目標としていた二級建築士試験の合格が見えてくるであろう。

著者 植村典人