第二版〈二級建築士受験〉5日でわかる法規計算


はじめに


(1)試験データ

 二級建築士の学科試験は、計画、法規、構造、施工の4科目について、合計60点が合格ラインです。各科目25点満点中、平均15点でOKですが、足切13点があるため、不得意科目をつくると合格が難しくなります。
 平成25年は、法規と施工の難易度が非常に高く、現行制度になって初めて合格点を58点に下げたにも関わらず、合格率は30%を割り込みました。26年はその反動で合格率は回復しましたが、近年、一千人単位で合格者数が変化しています。確実な合格に向けた「あと1点」をどうするか。難化する法規にあって、20点以上を得点できる実力が求められています。

(2)法規計算の出題傾向

 法規の25問中、過去最大は7問、近年は3問に減少していますが、内容は難しくなっています。出題分野とその頻度は以下の通りです。
・第3問:面積と高さ
 令2条1項の問題です。基本問題ですが、最近は出題がありません。
・第5問:天井高さ/換気
 一般構造の問題です。室の全容積から求める天井高さは初出題です。
・第6問:採光
 令20条の問題です。川に面する採光面積の算定は初出題です。 
・第8問:軸組長さ
 令46条4項の問題です。新しい分野として数年おきに出題されます。
・第17問:建ぺい率
 法53条の問題です。防火地域の耐火建築物による割増は初出題です。
・第18問:容積率
 法52条の問題です。3つの出題形式が数年おきに繰り返します。
・第20問:高さ制限
 法56条の問題ですが、新しい出題が絶えない奥の深い分野です。

(3)本書の構成

 本書は、ほぼ例年通り出題される計算問題を5章6単元にまとめた受験対策本です。実際に出題された過去問の難易度に合わせながら、問題を解くために必要な知識を基礎から応用まで扱っています。
・1日目:面積と高さ @面積と高さの算定
 例年、かたちを変えながら出題される令2条1項の問題をまとめました。条文読み取りから算定へと進む、法規計算の基礎的な分野です。章末に補講として、令2章一般構造の問題をつけています。
・2日目:採光 A採光面積等の算定
 採光計算は、条文から公式を導き、4つの出題パターンに合わせて使い分ける技術が求められます。章末に法改正で出題され始めた軸組計算の問題をつけています。
・3日目:容積率 B延べ面積の算定
 毎年出題される容積率の問題をまとめました。慣れると計算自体は複雑に感じませんが、3つの出題形式に対応した条文読み取りと公式への理解が大切です。
・4日目:建ぺい率 C建築面積の算定/高さ制限T D道路高さ制限
 相互に関連はしませんが、計算がやさしいため出題数が少なかった建ぺい率と、高さ制限の基本となる道路高さ制限の問題をまとめました。次章につながる重要な単元です。
・5日目:高さ制限U E高さの最高限度
 最終日は高さ制限の複合問題を整理しました。これらの問題は、用途地域や接道条件で変わる高さ制限の組み合せの中から、一番低いものを高さの最高限度として答える形式であり、条文の読み取り、公式の使い分け、様々な緩和規定への理解が欠かせません。

(4)学習方法

・ポイントアップ=各単元を1〜4に分け、要点をまとめています。問題を解く基礎知識として必ず覚えてください。
・〈例 題〉=基礎知識を実際に使う基本問題であり、過去問の中でもやさしい問題を選んでいます。例題は、その解き方自体がポイントなので、必ずマスターしてください。
・=基本問題から応用へ橋渡しをします。数行しかない答えでも、その何倍もの裏付けが必要なことを解説から理解してください。
・=ポイントアップに対応する過去問を、難易度順に3〜6問(単元@は10問)並べています。類似問題の多さは出題頻度に対応します。解説も参考に実践的な応用力を養いましょう。
・レベルアップ=最低限必要な条文とその解説をまとめています。条文は、問題を解くために必要なアンダーラインを入れつつ、必要のない部分を積極的に省略しています。読み取りの参考にしてください。法令集を引かなくても、ここを見れば答えを出せるでしょう。
・=出題頻度の低い問題を2回に分けてまとめました。「5日でわかる」ことにこだわるなら、読み飛ばしても結構です。

(5)学習目標

・最大7問中、5問以上が正解できるように!
 高得点の目安は8割です。法規計算でも8割を目標に。
・単元ごとのマスターを心掛けよう! 
 「なんとなくわかる」から「これとこれは大丈夫」へ。高さと面積、一般構造、容積率、建ぺい率を押さえ、採光と高さ制限に展開しよう。