増補第四版〈二級建築士受験〉 5日でわかる構造力学


はじめに


(1)試験データ

 二級建築士の学科試験は、計画、法規、構造、施工の4科目について、合計60点が合格ラインです。各科目25点満点中、平均15点でOKですが、足切13点があるため、不得意科目をつくると合格が難しくなります。
 平成25年は、法規と施工の難易度が非常に高く、現行制度になって初めて合格点を58点に下げたにも関わらず、合格率は30%を割り込みました。26年はその反動で合格率は回復しましたが、近年、一千人単位で合格者数が変化しています。確実な合格に向けた「あと1点」をどうするか。出題分野が明確な構造力学を、得点源にできる実力が求められています。

(2)構造力学の出題傾向

 構造の25問中、構造力学は3年連続で6問の出題となり、これまでの7問から1問減少しました。出題分野と出題順は、下表の通りです。
・第1問:用語と単位/力のつりあい
 用語が出ていません。平成24年からは設問自体なくなりました。
・第2問:断面二次モーメント
 断面一次モーメントは、平成18年以来、8年ぶりの出題です。
・第3問:はりの曲げ応力度
 応用問題から、基本的な過去問の焼き直しに戻りました。
・第4問:はりの曲げモーメントとせん断力
 等分布荷重を受ける曲げの問題が5年連続で出題しています。
・第5問:ラーメンの反力と曲げモーメント
 3ヒンジラーメンの反力計算は、初出題です。
・第6問:トラスの軸方向力
 基本的な解法を用いる問題が続いています。
・第7問:座屈
 いくつかの過去問が形を変えて繰り返し出題されています。

(3)本書の構成

 本書は、関連する分野を整理し、毎年出題される6問を5章9単元にまとめた受験対策本です。実際に出題された過去問の難易度に併せながら、問題を解くために必要な知識を基礎から応用まで扱っています。
・ 1日目 力と反力  @力のつりあい / A反力
  力のつりあいと、単純ばりからラーメン、トラスに共通な反力計算を1つにまとめました。つりあい条件式によるつりあい計算は、多くの過去問の基礎となる重要な計算方法です。
・ 2日目 曲げ  B曲げモーメント / C曲げ応力度
  曲げモーメントと曲げ応力度を1つにまとめ、曲げの基本から応用まで、幅広い出題に対応しています。計算過程を踏まえつつ、公式を身につけることが求められます。
・ 3日目 トラス  Dトラスの解法
  3日目はトラスを単独で扱います。近年、場合分けされた複数の基本的な解法を理解し、使いこなせる技術が必要とされています。1つの問題の解き方も1つだけではありません。引き出しを増やす努力が大切です。章末に関連する用語と単位の解説があります。
・ 4日目 断面と座屈  E断面二次モーメント / F座屈
  断面二次モーメントと続けて、座屈を学習します。どちらも重要な公式があり、その理解と計算力が解答へのポイントです。関連して、補講や用語解説をつけています。
・ 5日目 曲げとせん断  Gせん断力とせん断応力度
            Hラーメンの曲げとせん断力
  近年、曲げとせん断の複合問題が、はりとラーメンを対象に増えています。2日目のステップアップとして、最終日にまとめました。直接関係しませんが、章末に用語の問題をつけています。
・追補問題と解答・解説 平成25年度と26年度の問題、および解答を追加しています。

(4)学習方法

・ ポイントアップ=各単元を1〜3に分け、要点をまとめています。問題を解く基礎知識として必ず覚えてください。
・〈例題〉=基礎知識を実際に使う基本問題であり、過去問の中でもやさしい問題を選んでいます。例題から直接始まるポイントアップの場合、その解き方自体がポイントです。必ずマスターしてください。
・=基本問題から応用へ橋渡しをします。全部で4つしかありませんが、ヒント→答え→解説、の流れをしっかりつかんでください。
・=ポイントアップに対応する過去問を、難易度順に2〜5問並べています。類似問題の多さは出題頻度に対応します。解説も参考に実践的な応用力を養いましょう。
・レベルアップ=ポイントアップだけでは見えてこない、定義や知識をまとめています。学習に余裕があれば積極的に読み込んでください。ただし、「5日でわかる」ことにこだわるなら、飛ばし読みも結構です。
・/=各単元を補足する追加問題、及び関連する用語解説と問題を扱っています。出題頻度は低いので、レベルアップ同様、1頁2段組で構成し、飛ばし読みができるようにしています。

(5)学習目標

・6問中、5問を正解できるように!
 得点源にできる目安は8割。力学でも8割(5問)を目標に。
・単元ごとのマスターを心掛けよう!
 「なんとなくわかる」から「これとこれは大丈夫」へ。1日目の力と反力、4日目の断面と座屈、2日目の曲げ、まずはここから押えよう。