構造力学のツボ


まえがき

 2008年11月より新しい建築士制度がスタートした.
 学科試験については,従来の学科T〜学科Wまでの4学科に対して,今回の新制度では,学科Uに環境・設備が新設され,学科T〜学科Xの5学科に区分された.また,出題形式も五肢択一から四肢択一に変更された.
 構造については,学科Wとされ,その内容は,構造力学,建築一般構造,建築材料等とし,設問数は,5問増えて30問となった.その出題構成は,構造力学が7〜8問,建築材料が3〜4問とすれば,一般構造が18〜20問となり構造全般のウェイトが相当大きくなると予想される.その中でも,傾向として構造設計・耐震設計や構造計画の問題が増加しそうである.
 そこで,『構造力学のツボ』に続いて『構造設計のツボ』を発行することになった.
 前書の『構造力学のツボ』は,静定構造物〜不静定構造物〜全塑性モーメント〜崩壊メカニズム〜座屈・振動までを扱ったが,本書『構造設計のツボ』では,固有周期〜荷重計算〜許容応力度計算・許容応力度等計算・保有水平耐力計算〜限界耐力計算〜構造計画・耐震計画〜木構造の設計〜RC造・S造の構造設計・耐震設計まで幅広い内容を盛り込んだ.したがって,この2冊の書籍を活用して学習し,理解すれば,学科Wの出題内容の半数程度をマスターしたことになり,目標とする1級建築士の合格が見えてくるであろう.

 本書の特徴としては,「必ず覚える!公式〇」や「必ず覚える!選択肢例」などを随所に挿入したことである.これらを必ず覚えることが重要である.特に,「必ず覚える!選択肢例」は,内容を解説したすぐ後に挿入して,その解説文がどのように出題されたかを知るのに大いに参考になるように工夫した.また,その選択肢の解答例として詳しい解説を記述した.ただ単に,選択肢の正誤を覚えるのではなく,なぜ間違いなのか,どこが誤っているのかを十分に理解できるように記述した.したがって,この解説を繰り返し,繰り返して読み返し,その内容を理解し,自分のものにすることによって,構造設計の分野を得意分野に変え,学科Wを克服できるものと確信している.
 本書では,これらの内容をまとめて,“構造設計のツボ”とした.“ツボ”を押さえた学習をすることによって効率よく構造設計をマスターすることができるであろう.
 最後に,本書を十分に活用されることによって,一級建築士試験合格の栄光を勝ち取られることを願ってやまない.

 2009年2月

著者 植村 典人