SDGs先進都市フライブルク

おわりに

「政治家が何かをするのを待つのではなく、自分たちでできることをしようと思った」。ドイツの市民団体に話を聞くとこんな言葉を度々耳にする。日本人がドイツ市民から一番学べることは、ここにあるのではないだろうか。ボトムアップで市民が社会を作る、政治の主役は自分たちである、そんなフライブルク市民の意気込みが本書を通して伝われば非常に嬉しい。

とはいえ、この本で取り上げた以外にもフライブルクではさまざまな分野で市民団体が活動している。掲載した団体であっても紹介しきれなかった部分も多い。ドイツやフライブルクの市民社会がいかにダイナミックであるかを語るには、自分の能力もページも足りないと痛感する。

本の出版に際し、快くインタビューに応じてくれた市民団体や企業・公社、とりわけ、多忙な中プライベートの時間を削り話をしてくれた方々にまずお礼を述べたい。また学芸出版社の前田裕資さん、編集協力の村角洋一さんには、完成まで辛抱強く付き合っていただいた。スケジュールの遅れや諸事情の変更にもかかわらず出版できたことに改めて感謝したい。

この本は共著ではあるが、私熊崎が執筆したのは4・3節、6、10、14、16章のみで、他の章節と取りまとめは中口さんが担当された。ヒアリングのほとんどは共同で行い、私の方で中口さんの原稿に加筆したり、独語から和訳をした部分もあるが、この書はフライブルク市民の取り組みを日本に伝えたいという中口さんの熱意の賜物である。その契機としては、すでに書籍などでフライブルクを日本に紹介されている今泉みね子さん、村上敦さん、前田成子さんの功績が大きい。フライブルクに一時滞在していた新田純奈さん、木紗弥さん、芝井彰さん、フライブルクをテーマに卒論を書いた研究室の元学生さんたちも本書作成に大きく貢献されたという。

最後に、本の仕上げ段階に長女の出産が重なってしまい、皆さんにご迷惑をおかけしたことを深くお詫びする。また大変な時期にいろいろサポートしてくれた夫と、フライブルクの友人たちに心から感謝を捧げる。

2019年7月 熊崎実佳