住み継がれる集落をつくる
交流・移住・通いで生き抜く地域

おわりに

 農山漁村を研究の対象とする場合、地域住民の方々、行政、専門家をはじめとした関係者の方々の声に耳を傾けるところから研究がスタートする。私たちも地域に出向き、多くの地域の方々と語らい酒を酌み交わす中でたくさんの示唆をいただいた。そこで、地域の未来を切り開こうとする人々の意思に触れたことが、本書を作り上げていく原動力の一つとなった。

 本書で取り上げた事例以外にも、これまで各地で開催してきた公開研究会(第1回:丹波市青垣、第2回:徳島県三好市、第3回:和歌山県紀美野町、第4回:大分県国東市、第5回:新潟県十日町、第6回:宮城県石巻市十五浜、第7回:瀬戸内、第8回:北海道ニセコ町)、日本建築学会2014年度大会研究協議会での成果に多くの示唆を受けた。紙幅の都合で、お世話になった方々のお名前をご紹介することはできないが、記して感謝を申し上げたい。

 なお、本書はJSPS科研費No.26289214の成果の一部である。調査、公開研究会の実施や本書の出版に際し、多くの助けをいただいた。そして、編集者として的確な指摘をいただいただけでなく、研究会にも休日返上で積極的にご参加いただき、私たちとともに議論を重ねていただいた学芸出版社の中木保代さんにもお礼を申し上げたい。

 本書を届けることで、お世話になった方々、人口減少に向き合う全国の人々のこれからに、少しでも貢献できれば幸いである。

2017年7月 著者を代表して 山崎義人・佐久間康富