みんなでつくる総合計画

高知県佐川町流ソーシャルデザイン

はじめに

 新しい総合計画をみんなで策定する!
・ まちの人、自然、財産など自慢できるものを再発掘
・ ワークショップ形式による合意形成会議の実施
・ みんなが自慢でき、誇りに思える総合計画の策定

 堀見町長が、2013年10月に町長選の公約のひとつとして掲げたのが、本書のテーマである総合計画を住民、佐川町役場職員一丸となってつくることです。

 総合計画とは10年に一度策定するまちの未来像(ビジョン)とその実現のための行動計画(アクションプラン)です。企業で言うところの経営ビジョン・長期経営計画のようなものです。この計画づくりで最もこだわったのが、「みんなでつくる」ということです。

 佐川町をはじめ全国各地の地方自治体には、解決すべき課題が山積みです。しかし、とらえ方を少し変えてみると、課題を解決することで、誰もが自分の力でよりしあわせな「みらい」をつくりあげるチャンスがある、とも考えられます。課題の中には、一人では難しくても多くの人が関わることで解決できるものもあるでしょう。また、行政だけではなく、多くの住民が参画することで、課題を根本的に解決できるものもあるでしょう。
 こうした課題を解決するためには、住民一人ひとりがまちづくりを「じぶんごと」としてとらえ、できることに主体的に取り組むことが大切です。そんな住民一人ひとりが行動した先にある未来像を描き、後押しすることが「総合計画」の役割なのだとわたしたちは考えました。

 佐川町の未来ビジョンワードの一部でもある、「チームさかわ」という言葉は、「住民一人ひとりの想いや行動を結集し、“わたしたちのまち・さかわ”をつくる」、そんな想いから生まれました。
 本書はそんな「チームさかわ」が2年間かけてつくりあげた「みんなでつくる総合計画」プロジェクトの記録であり、最終成果物です。

 前半のプロセス編では、2014年4月からはじまり、2016年2月に完成するまでの総合計画づくりのプロセスを6つのステップに分けて、佐川町での実践内容とそのノウハウを紹介しています。
 後半のビジョン編は、「さかわの楽しみ方2025」と題して、2016年から2025年の10年間かけて実現を目指す佐川町の未来像を示しています。全17回の住民ワークショップを通じて生まれた住民発アクション457個をもとに、 25の未来の姿を描きました。25個それぞれ、10年後に町内で起きている出来事に加えて、住民がその実現に向けて取り組むことができるアクションを表記する構造になっています。

 本書は「チームさかわ」のメンバーである住民と役場職員がこれから10年間何度も読み返し、確認し、時には進路を修正するために用いる、佐川町まちづくりの羅針盤の役割を果たすものです。
 また、同時に、住民参加による計画づくりに取り組む自治体職員のみなさん、まちづくり関係のみなさん、すでに活動をはじめている住民のみなさんに参考にして頂けるように、プロジェクトの進め方やノウハウを豊富に盛り込んだ内容になっています。
 本書が、佐川町をはじめ全国各地の自治体において、住民一人ひとり、「みんなが主役」のまちづくりが進むきっかけとなれば幸いです。

チームさかわ一同