まちで闘う方法論
自己成長なくして、地域再生なし

木下 斉 著

おわりに


本書は実は今から4年前に構想が立ち上がりました。

発端は編集者の方から、都市計画や地域活性化のこれまでのロールモデルでは「地域でどう稼ぎを作り、飯を食っていくか」という点で、これからの若者に役立ちそうもない、という話があり、18年前の自分が漠然と持っていた疑問に対して、今の自分がどう答えるかを考え、本書を書くことにしたのです。

地域を活性化し、さらに自分も飯を食うということは、実はシンプルです。自分の必要とする稼ぎの何倍もの価値を地域で作り出し、その中から自分の食う糧を獲ればよいわけです。とはいえ、単純なだけに難しい。私の場合は、地域活性化事業を通じて収入を得ていくまでには、活動に参加してから実に5年、事業として取り組み始めて3年ほどかかりました。

本書をまとめる中で、18年のプロセスを今一度思い起こすことになりました。まちに関わるきっかけをくれた早稲田商店会、そしてそこから広がった全国の地域とのネットワーク。さらに、行政から民間まで幅広い方々の支えがありました。地域で起こる様々な闘いを乗り越えてこれたのは、そのような多くの方の支えがあってこそです。

本書を読まれた方が、様々な方との出会いを通じ、地域に新たな「稼ぎ」を作り出されることを祈念しております。そして、どこかのまちで共に事業に取り組めたら、それ以上に嬉しいことはありません。

本書を通じて、まちで出会った多くの方々、そして友人、家族の支えによって今の自分が存在しているのだと実感させられました。この場を借りてそれらの皆様へ心より感謝申し上げると共に、期待を裏切らぬように地域で「稼ぐ」事業開発に奮闘しようと決意した次第です。

2016年3月  木下 斉