改訂版 図説 わかる材料
土木・環境・社会基盤施設をつくる


はじめに

 「土木材料」は種類が多く、しかも多様であり、用いる際は、その性質・特色を十分に把握しておかなければなりません。構造物の計画、設計、施工、さらには急増しつつある維持管理・補修の各分野で合理的に使用されなければなりません。また、次々と登場する新しい材料について学び、理解し、かつ積極的に利用することも必要です。本書『図説 わかる材料』は2009年の発刊以来、多くの大学・高等専門学校で採用していただき、おかげをもちまして、定本としてロングセラーとなっております。しかし、その間にいただいたご意見およびコメント、さらには基準類の変更を反映させるため、今回、改訂版を発刊するに至りました。
 改訂に当たり、次の点に留意しました。

  (1)最新の情報・基準・トピックを採用しました。
  (2)執筆者、編集協力者を増員しました。
  (3)カラー口絵を設けました。
  (4)各章に演習問題を設けました。

 構成は改訂前と変えず、「1章 材料からひろがる可能性」「2章 セメント」「3章 混和材料」「4章 骨材」「5章 コンクリート」「6章 鋼材」「7章 高分子材料」「8章 アスファルト」のままにし、「5章 コンクリート」をメインに据え、ページ数も最も多く割きました。これは、『“丈夫で美しく長持ち”するコンクリートで、“丈夫で美しく長持ち”する市民社会を!』という私達の気持ちの表れです。
 文章の記述と編集については、次の点を工夫しています。

  (1)読者が親しみやすい文体(口語調、コラム調)にしています。
  (2)各章では必ず「目的、定義」を述べ、読者がその章で何を学ぶのかを明確に
     しています。
  (3)内容に合った写真、イラストを採用し、わかりやすく整理された表を多く取り
     入れました。
  (4)随所に「エピゾード」や内容に関係する「解説」を設けています。
  (5)講義回数に合わせて、「15回」で本書の内容が理解できるような章構成に
     しています。

 今回の改訂版においても、現在、最前線でご活躍されている先生方に執筆をお願いいたしました。また、各分野で専門性を発揮されている先生方には、編集協力者として各章の執筆内容に忌憚のないご意見をいただき、本編に反映させていただきました。
 さらには、野村彰氏には、わかりやすく、親しみやすいイラストを添えていただきました。最後に、学芸出版社の井口夏実氏の献身的なサポート抜きでは本書の発刊はかないませんでした。専門外でいらっしゃるがゆえの多くのご指摘を同氏より賜り、本書がより「わかる」に近づけたように思います。この場をお借りして厚くお礼申し上げます。

  2015年11月11日

監修 宮川豊章(京都大学)
編者 岡本享久(立命館大学)、熊野知司(摂南大学)