スマート・テロワール
農村消滅論からの大転換

本書を推薦します

静岡県知事 川勝平太

 「スマート・テロワール」−それは「美しく強靭な農村自給圏」のことだ。
 すでに各地で動きが始まり、静岡県では著者のアドバイスを得て「ふじのくに美しく品格のある邑づくり」を興し、84の農村地域が登録され、その中で伊豆の松崎町は「日本で最も美しい村」連合に加えられ、「世界でいちばん富士山がきれいに見える町」宣言もした。自信を取り戻している。本書の理論の実践の成果である。
 欧米をモデルとする大都会中心の「東京時代」は終幕期に入った。新しい時代の檜舞台は北海道から沖縄にいたる日本の大地である。そこで実践するべき理論と成功事例が本書に懇切に説かれている。
 松尾氏はカルビーを率いて、「契約栽培」を始め、食品を美味にし、農業を元気にし、農村を美しくしてきた。「フランスで最も美しい村」運動に触発された「日本で最も美しい村」連合のリーダーでもある。
 日本の農産物の品質は色・形・味いずれも芸術的である。食品加工には匠の技が生きており、総じて農業芸術品、つづめて「農芸品」である。「和食」がユネスコの世界遺産になり、日本の食料・農業・農村に関心が集まっている。本書は、日本の食料・農業・農村を「世界に誇るべき宝」に磨きあげるための最良の指南書である。
 本書を手に「農村ルネサンス」に乗り出そうではないか。農村は「アルカディア(桃源郷)」に、田舎は「日本の理想郷」になりうる。