建築・交通・まちづくりをつなぐ
共生のユニバーサルデザイン




本書のねらいと学習到達目標


 本書のねらいと特色は以下のとおりである。
    1)建築、交通、まちづくりで必要となる、ユニバーサルデザイン(以降、UD)の考え方を説くわが国はじめての本格的入門テキストである。
      ・写真・図版・イラストを多用してわかりやすさを、また計画の仕事に就く技術者や現場のエピソードを加えることで親しみやすい内容を目指している。
      ・土木・建築・まちづくりの各分野を同時かつ横断的に取りまとめている。
      ・交通工学・建築学・地域計画・都市計画・地域マネジメント等の授業の一部に、バリアフリー(以降、BF)・UDを取り入れる際、参考書となりうるものをめざしている。
      ・全体の構成はおおむね3つのパートからなり、前半を概論、後半を必要な技術知識の涵養、最後に継続的改善および防災問題を取り上げ、全般を通じて実例を重視し解説している。
      ・公共施設・建築物・交通サービスにおける、人間工学・生理学にもとづいた計画・設計手法、行政システムを学ぶとともに、技術者倫理を含むUDの実践に必要な総合力を解説している。
    2)工学系だけでなく文系学部でも必要とされる「福祉のまちづくり」の知識を学ぶ。その意味で単なる工学書ではなく福祉的観点や知識を重視している。
    3)机上の座学型学習のテキストとしてだけでなく、創生型、問題発見型、体験型学習の手引きとして、まちづくりのファシリテーター、コーディネーターの育成に活かすことができる。
 本書による学習到達目標は以下のとおりである。
    1)福祉のまちづくり、BF、UDが狭い専門領域の個別知識ではなく、倫理性をもった社会づくり、人びとの生活の中で幅広く必要とされる領域であることを理解する。
    2)具体的な「まち」を見た時、福祉のまちづくり、BF、UDの観点から問題意識・問題発見・課題設定、さらに解決法が考察できるようになる。
    3)以上により表現される計画・設計は広範囲の分野にまたがるが、それを企画し、コーディネートし、実現するプロセスを身につける。
    4)文系・理系といった専門にとらわれない幅広い知識を学ぶ態度を身につける。
    5)本書を片手に「まち」を検証して歩くことにより、BF・UDによる福祉のまちづくりワークショップのコーディネーター、ファシリテーターのスキルを身につける。