成功する自転車まちづくり
政策と計画のポイント

おわりに


 本書においては、主として、次の三点を強調してきたつもりである。
 
 第1に、自転車のメリットは幅広く、また、様々な側面と主体に及ぶものであることである。このような多くのメリットを重ねてもつ移動手段は、自転車を置いてほかにない。そして、余計なことを考えて、せっかくこのメリットを生かし切れていない現状がある。そこで、これを最大限に生かすような施策が必要であり、そのための方法や理論的な根拠を明確にしてきた。
 
 第2に、この自転車施策は、ややもするとハードの走行及び駐輪の空間整備に重点が行ってしまうが、自転車の用途別に自転車利用の促進のためのソフト面の施策も重要であり、これらを総合的に体系化して講ずることが必要であることである。このため、自転車利用者や住民の利用に関する実態や意識を的確に把握することにより、有効な自転車政策を組み立てることを提案した。
 
 第3に、自転車の利用促進には、放置問題、交通安全など大きな課題が存在しているが、自転車利用をうまく促進することで、効果的かつ有効な方策を講ずることが可能であることである。これは、さまざまな方法により、立証してきたつもりである。このような方法を参考にして、自転車の一層の利用促進とより的確な課題の解決のあり方を考えるべきである。
 
 本書は、以上のような思いを託して、作成している。この本の活用により、国民一人一人に自転車のメリットが幅広く行き渡ることを期待するものである。
 
 最後に、本書の内容の基礎となっているアンケート調査やその結果分析等については、国、地方公共団体、自転車駐車場整備センター等の調査研究により明らかにされた内容に負うところが大であり、これらの主体に心から感謝申し上げたい。また、自転車活用によるまちづくりのあり方の検討にご支援をいただいた三井不動産鰍竡幕ニ活動での自転車活用事例等についてご教示頂いた各社の方々にも、そのご協力に感謝申し上げる。さらに、今まで、何年にもわたり、自転車に関する調査研究をともに行ってきたプラネットフォーの佐藤、吉川、中村の各氏にも、ご支援ご協力に心から感謝する次第である。さらに、本書の作成に当たって多大なるご理解と細やかなアドバイスとご支援をいただいた学芸出版社の前田、小丸両氏にも心から感謝の意を表するものである。