ドイツ 人が主役のまちづくり



書 評
『環境緑化新聞』 2007.5.15
 ドイツのまちづくりに欠かせない日本のNPOにあたる市民協会は、地方自治を育てる学校とも評されている。環境保護、ごみ収集、保育園運営等さまざまな社会サービスを支えているのが市民協会のボランティアの存在だ。ユニバーサルデザインが息づき、トランジットモールでにぎわいを呼ぶ、そんな暮らしやすい魅力的なまちはいかにつくられるのか。本書ではまちづくりを牽引する市民活動の意義や魅力に迫っている。
 新しい地域のまちづくりに市民参加が不可欠なのは誰しも分かっている。しかしその方法論となるや手探り状態。本書に描かれたドイツの地方都市が進める活動の中にそのヒントが見つかるはず。
 著者は自然に近い形で緑地創造と管理を行い日本からも多くの見学者が訪れているカールスルーエ市在住のジャーナリスト。本書の他、理想化された環境パラダイスとしてのドイツではない、生の姿をリポートした「環境先進国ドイツの今」(同社刊)も革新的なドイツの環境政策を実現させる仕組みやドイツ人を環境に駆り立てる原動力に迫って興味深い。