都市アメニティの経済学


書 評
『地域開発』((財)日本地域開発センター) 2004. 4
  都市間競争が激化し、少子高齢化、情報化など、様々な変化を迎えた現在、ある望ましい方向へ向けて都市を誘導することが必要とされている。では、都市はどのような方向へ誘導されるべきだろうか。公共の福祉やサステイナビリティといった、抽象的な概念による合意は得られているようだが、問題はその先である。
  本書は、都市の価値を、都市アメニティという概念で新しく客観的に定義し、計量化を試みることによって、専門分野を異にする都市関係者の共通の言語とすることを目的のひとつとしている。また、抽象的な都市計画の目的と都市計画の実務との間に、数値目標としての都市アメニティを位置づけることにより、様々な場面での合意形成に寄与することができるとして、都市アメニティの体系化、数量化の枠組みを提案している。
  数量化というと難解に聞こえるが、都市アメニティの価値評価に際しては様々な事例を取り上げ、手法については平易な解説にとどめられているため、入門者にとっても読みやすい一冊であろう。