図説 建築材料


 はじめに書いたように、本書は講義をしているつもりで記述した。無味乾燥になりがちな建築材料についての講義であるが、説明するための図を多くしたり、興味を持ってもらえると思う事柄を取り入れたつもりである。
 建築材料は建築物の特性を決定する重要な要素である。そして、一つひとつの建築材料は人間と同じように思える。それぞれに特性という個性を持っている。建築物を設計しようとする者は、それらを活かすことが大事だと思う。
 そのために、建築材料の物理的な特性だけでなく、誕生の歴史や製造方法など、いろいろな書籍から学んだ事柄を記述した。
 また、実際の建築作品の中でどのように使われているかを知ることは、建築物の設計にも役に立つと考え、数は少ないが実例を示した。読者には、それらだけでなく、建築作品集などによって多くの建築作品を参考にしてもらいたい。
 本書を執筆するために、沢山の書籍や報告書を参考にし、引用させていただいた。それらの著者に深く感謝申し上げる。また、何度も校正を重ね、サポートしていただいた学芸出版社の中木保代様ならびに古野咲月様にも謝意を表したい。
 建築を志す人が本書で得たものを、よりよい建築物の設計に活かしていただければ幸いである。




執筆者を代表して 武田雄二