図説 やさしい建築環境


まえがき

 建築物を造る上では、もちろん構造面が安全でなければなりません。しかし、構造だけではなく、その中で生活や仕事やショッピングなどをする人々が、快適に時間を過ごすことができる環境も求められます。また、寒暖の差のある日本では、結露による内部構造の腐朽など、環境面から構造に影響をおよぼすことがないようにすることも求められます。
 そこで、今まで少し難しいというイメージのあった『建築環境工学』の分野を、もう少し身近に現実的に捉えることができないかと考え、監修でもある辻原万規彦が大学の講義用に作成した講義ノートをもとに、著者がイラストを交えた構成に作り替えて本書としました。
 イラストを交えたことで内容をまずイメージでとらえ、そこから理解を深めることができるのではないかと思います。
 また、基礎をしっかり理解することなく発展に入ってしまい、難しいというイメージを持たれる方も多いと思います。そこで本書では、まずしっかりと基本を理解することを第一の目的としました。そうすることが、発展への近道だと考えるからです。
 本書の構成は、建築士試験にも対応しており、二級建築士試験への基礎の理解、一級建築士試験への発展のための参考書に最適です。
 本書をもとに、建築環境工学への関心が深まり、今後、環境や人にやさしい建築物がますます増えていくことを心より望みます。
著者を代表して 今村仁美