はじめに

 本書は,木造の標準的な在来軸組工法をとりあげ,はじめて木造の構造を学ぶ人が,できるだけやさしく,総合的に理解できるように,次のように構成されています.

演習1 図面を立体図(アイソメ)と見くらべ,立体的に把握する.
    模型を作りながら立体を体感し,部材の位置関係を理解する.

演習2 模型を作り,部材の位置関係を理解できたところで,順を追って構造図を描いていく.
       皆さんの考えたオリジナルプランでも
       進めていけるように,説明しています.

 このように本書では,まずは模型を作り,それぞれの部材の構成や位置関係等を一つ一つ立体で視覚的に把握することで,木構造の原理を総合的に理解していきます.
 次に,立体を想像しながら,順を追って構造図を描いていきます.
 このような順序で学べば,それぞれの部材の役割から働きまでを,理解できるようになるでしょう.
 また,常に立体を想像しながら図面を見ることで,構造図だけでなく,その他の図面からでも空間そのものを正確に読みとれるようになるでしょう.同時に,空間を平面的な図面に置き換えることもできるようになるでしょう.
 本書の内容は,読むだけでもある程度は理解できますが,やはり模型を作り,立体を体感することが重要です.

 本書は基本としての木造建築の構成について,初歩的な問題からわかりやすく手軽に修得できる範囲を扱っています.本書を使い,一歩一歩理解を深めることで,皆さんのより奥深い木造建築の技術と知識の修得への足がかりとなれば幸いです.

  2001年9月                    著  者