図説 建築構造設計


まえがき

 構造計算に関する書籍は数多く出版されているが、鉄筋コンクリート構造のみの書籍か、鉄骨構造のみを扱ったものが多い。
 そこで、本書は、鉄筋コンクリート構造については、構造設計のあらまし・プロセス・許容応力度・荷重を基礎知識とし、5章からの梁・柱などの構造部材を中心に具体的に許容応力度設計と二次設計を学ぶことにより、6章の計算事例に進むことができるように構成した書籍とし、さらに、5章の後半には鉄骨構造についても引張材・圧縮材および梁材・柱材の設計さらに継手・仕口の設計までを学ぶことができるよう教科書としての内容を充実させた。
 すなわち、本書の各章を次のように構成し、構造設計を学ぶにあたっての基本的な考え方を示した。

・1章 構造設計のあらまし
 構造設計について、その必要性や設計法の変遷などについて学ぶ。
・2章 構造計画と構造計算のプロセス
 構造形式、構造計画および断面計画について学び、構造計算のプロセスを考える。
・3章 鉄筋コンクリート造と鉄骨造に用いる躯体材料と許容応力度
 鉄筋コンクリート構造の躯体として用いる鉄筋およびコンクリートの許容応力度について学ぶ。さらに、鉄骨構造の躯体としての鋼材の許容応力度についても学ぶ。
・4章 建築物に作用する荷重
 構造物に作用する固定荷重、積載荷重、積雪荷重、風圧力、地震力などの荷重について学び、さらにこれらの荷重に対して安全となる組合せについて学ぶ。
・5章 構造計算の進め方 ─許容応力度設計と二次設計─
 鉄筋コンクリート構造と鉄骨構造の許容応力度設計について学び、さらに二次設計についても学ぶ。
・6章 鉄筋コンクリート構造の構造計算例
 鉄筋コンクリート造2階建の事務所建築の計算例を示し、許容応力度計算ができるようになることを目標に構成している。

 以上の各章を学ぶことによって、簡単な鉄筋コンクリート構造の建築物の許容応力度計算による構造計算を学ぶことができ、さらに二次設計についての基本的な知識を身につけることができよう。また、5章を学ぶことによって鉄骨構造の部材の断面計算を理解し、鉄骨構造の許容応力度計算まで自主学習を進めることができるように計画した。

2015年10月 著者一同