図解レクチャー 構造力学
静定・不静定構造を学ぶ

まえがき


 2004年に出版された姉妹書『図説やさしい構造力学』は、数学や物理学がどうも苦手……という方々にも構造力学を理解していただきたいという思いを込めて執筆いたしました。うれしいことに、その後多くの読者から励ましのお便りをいただきました。多くの方々のお役に立てたことは著者にとってこの上ない喜びであり、感激・感謝に絶えません。
 お便りの中には「不静定構造についてもっと詳しい本を書いてほしい」というご意見もございました。向学心旺盛な皆さんのご要望に答え、さらなる構造力学理解の手助けができればと考え、今回の出版に至りました。図説やさしい構造力学では2級建築士を目指す方々のために執筆いたしましたが、今回は大学でも使えるもの、1級建築士をめざす方々にも十分使っていただけるものを目標に執筆いたしました。

本書の特徴
・本書は前半に力の基礎、静定構造を収め、後半に不静定構造の内容を収めました。1冊で力の基礎から不静定構造、さらに構造物の崩壊までを学習することができます。
・ストーリーは力の釣り合い、重ね合わせの原理という基礎的な力学の考え方のみでできあがっております。片持ち梁に端を発し、これら2つの考え方から如何にして不静定構造を構築していくかをご覧ください。 ・不静定構造の解法としてたわみ角法、固定モーメント法を解説しております。手計算で不静定構造を解けるようになることは大切なことです。不静定構造が解けるということは、構造骨組の中を力がどのように伝わるのかを理解することにほかなりません。計算機がすべてをやってくれるまことに便利な時代になりましたが、そんな時代だからこそ、力の伝わり方を理解できるようになっていただきたいと願います。
・本編は四則計算のみで解説をしています。文系、デザイン系の方にも学習していただけますよう配慮いたしました。
・本編中に現れる重要な式は公式として紹介しておりますが、向学心旺盛な読者のために公式がどのようにして導かれたのかを本書の最後に附録として収めました。ここでは、微分・積分を積極的に使っております。微分・積分の基礎的内容から解説を始めておりますので、ぜひこの機会に微分・積分にも挑戦してみてください。
 本書がみなさんの目標達成の一助となりますことを心より願っております。
 末筆ながら、本書作成に多大なご尽力をいただきました学芸出版社知念靖広様、中木保代様、市場調査をもとに本書内容にご意見をいただきました学芸出版社村井明男様、いつも親しみのあるイラストで本書を飾っていただいております野村彰様、作成にあたりご意見をいただき、いつも激励していただきました京都工芸繊維大学教授森迫清貴先生、この場をもって厚く御礼申し上げます。また、読書の皆様には多くの励ましのお便りをいただきました。厚く御礼申し上げます。大きな励みとさせていただきます。ありがとうございました。

平成23年10月
浅野 清昭