建築家のためのウェブ発信講義


はじめに 建築家がウェブで発信することの可能性


1章 アーキテクチャーフォトというメディアでの気づき

1 建築家自らのウェブ発信に可能性がある
・建築家とメディアの関係を俯瞰する
・ウェブ発信は「学問としての建築」と「ビジネスとしての建築」の両方に活用できる
・「良いものは発信しなくても伝わっていく」という考え方に思うこと
2 アーキテクチャーフォトというメディアでの気づき
・建築家とウェブの現在
・建築メディアの運営から見えてきた、建築家がウェブ発信ですべきこと
・ウェブメディアを立ち上げた理由
・地方で立ち上げたサイトが27万ビューになるまでの経験
・無料が前提のウェブで、ビジネスとしても成立させる
・建築と社会の関係を視覚化するメディア


2章 ウェブ発信の技術 理論編

オリエンテーション 知っておきたいウェブの基礎知識
・建築家のためのウェブ発信ツール選び
・SEO のテクニックや表面上の美しさは本質ではない

第1講 建築家はウェブとどのように向き合えば良いか

1  建築設計とウェブ発信は似ている
・建築設計の考え方でウェブサイトを運営する
・設計の思考法がウェブ発信に応用できる
・敷地を調査して設計するように、ウェブの流儀を調査して発信する
・動線という考え方はウェブ発信でも有効
・"裏付けを取って設計するように、慎重に調べて発信することは信頼につながる"
2  個性と強みを活かした発信をしよう
・建築家は何を発信するべきか
・自身の価値を理解していない建築家も多いという実感
・活動を俯瞰して他者と比べることで強みを見つける
・自身の強みを見出す「ブランディング」という考え方
・当たり前と思っていることにも価値はある
・ウェブなら作品以外の自身の良さもアピールできる
・「建築の表現」と「ウェブ発信」を一致させる

第2講 ウェブ活用のための3カ条

1  継続に勝るものはない
・継続が前提の世界
・一にも二にも継続。自分ができることから逆算して発信内容を考えよう
・「楽」にできるという視点が重要
2  「ファンづくり」という視点を持つ
・ファンの心を掴むことが、大きなメリットを生む時代
・仕事を依頼するのは、あなたの「ファン」だから
・ネットでは広範囲での「ファンづくり」がだれでもできる
・「ファン」を増やすことはウェブ上での営業活動でもある
3  信頼される発信を心がける
信頼されることが一番大事なこと
過去の発言のストックから「信頼できるかどうか」を読みとられる時代
数字だけを稼ぐことは実は簡単
配慮のない発言は炎上につながることも

第3講 価値を発信するための思考法

1  情報は受け手に合わせて編集する
・だれに届けたいかで発信の仕方は変わる
・単語の順番を考えることは、建築の動線を考えるように重要
・情報の受け手が知りたいことを発信する
・自分が伝えたいことは、全体のバランスを見て発信する
・様々な価値感を良し悪しではなく違いと考える
2  戦略的に「言葉」を選ぶ
・ワード検索の仕組みを理解する
・Instagramのタグを観察するとクライアントの世界が見えてくる
・同じ作品でも伝える言葉で受け取られ方は異なる
3  移り変わる社会の変化を意識する
・常に社会は移り変わる
・発信された情報と、受け手の反応の関連性を観察し学ぶ
・自身の発信への反響から社会の見方を予測する


3章 ウェブを使いこなす建築家たち 実践・分析編

・実践から学ぶウェブの使い方

第4講 藤村龍至さん(RFA) 東京都
思考をブラッシュアップし社会と連鎖するTwitterの使い方

・メディアも設計する意思を持つ建築家
・SNS上で行う小さな思考実験
・ウェブ上に自身の作品の批評空間を生み出す
・フォロワーを巻き込むことで関連性を生み出す
│実際にお話を伺って│

第5講 堀部直子さん(Horibe Associates) 大阪府
潜在的なクライアントとつながるためのInstagramアカウント

・Instagram を使いこなす建築家
・未来のクライアントにアプローチするハッシュタグの使い方
・建築を伝えるための写真を、Instagram に最適化する
│実際にお話を伺って│

第6講 連勇太朗さん(モクチン企画) 東京都
アイデアを拡散し、事業を具現化するプラットフォーム

・建築の力を一般社会の中で活かしたいという意志を持つ建築家
・建築家がポータルサイトを運営するということ
・一般目線で考えられたレシピの名称
│実際にお話を伺って│

第7講 伊礼智さん( 伊礼智設計室) 東京都
建築作品と手料理を等価に扱い、ライフスタイルそのものを伝える

・生活への深い眼差しを持った建築家
・作品写真と料理の写真をフラットに扱う
・十年以上、継続更新されているブログ
・自身のフィルターを通して発信することで世界観が生まれる
│実際にお話を伺って│

第8講 佐久間悠さん( 建築再構企画) 神奈川県
法規を切り口に。強みを活かし建築の新しい分野を開拓する

・「法律の専門家」という活動に合わせて自身を変えていった建築家
・「法規」という切り口で自身をプレゼンする
・自身の活動に合わせて変更された事務所名
・皆が知りたい法規についての解説をブログで発信すること
・コンプライアンス意識の高まる現代社会に対応する
│実際にお話を伺って│

第9講 豊田啓介さん( noiz ) 東京都
テクノロジーの今を伝え、隣接分野を巻き込むパイオニア

・現代テクノロジーに精通する建築家
・テクノロジーの情報をキュレーションすることが自身の建築の理解に
・異分野の中で「建築家」としての存在を確立する
・共感者を集める率直で説得力ある発言
│実際にお話を伺って│

第10講 渡辺隆さん( 渡辺隆建築設計事務所) 静岡県
自身のパーソナリティを伝え、ファンと接するブログ発信

・地域でファンを増やし続ける建築家
・人柄の良さを可視化し、未来のクライアントに安心感を与える
・自身の「好き」を発信することは、自分のファンを増やすことにつながる
│実際にお話を伺って│

第11講 相波幸治さん(相波幸治建築設計事務所/シモガモ不動産) 京都府
建築家・不動産会社・ホームインスぺクション、三者三様の発信チャンネル

・三つのチャンネルを持つ建築家
・建築家・不動産会社・ホームインスペクターの三つのサイトでクライアントと出会う
・同じ素材を、対象者の違いに合わせて編集する
│実際にお話を伺って│

第12講 川辺直哉さん( 川辺直哉建築設計事務所) 東京都
訪問者を楽しませるオリジナルなサイト開発

・賃貸集合住宅という強みを持ち、独自の発信をする建築家
・自身の活動を客観的な視点で見せる
・新鮮な情報を最大限に伝えるサイト構成
・自身の活動にあったオリジナルのカテゴリーをつくる
│実際にお話を伺って│

おわりに 「建築」と「建築家」をサポートするために
謝辞・参考文献