これからの建築士

職能を拡げる17の取り組み

はじめに /倉方俊輔、吉良森子、中村勉、佐々木龍郎

第1部 新たな関係をつくり、社会を動かす

設計も施工も住み手と一緒に行えば、失敗も思い出に変わる
──対話:コミュニケーションをとりながらつくる、新しい分業の世界
/HandiHouse project
地域に働きかける〈小さな経済〉をデザインするアパート
──対話:小さな地域の仕事から始める静かな革命
/仲俊治・宇野悠里 [食堂付きアパート]
多様なチームで「建築に何が可能か」を考える
──対話:ゆるやかな仕組みで、クライアントと並走する
/SPEAC
「社会構築」と「空間構成」を連動させる
──対話:空間の使い方のダイアグラムが生む新しい建築のつくり方
/ツバメアーキテクツ
川上から川下までのネットワークを構築し、都市木造を実現する
──対話:木造から都市のシステムを変えようとする、多分野の集まり
/チーム・ティンバライズ

論考1 「2050年」から建築士を考える /中村勉

第2部 デザインの意味を拡げ、状況を変える

命を守る施設を地域住民自らが建築できる力を育む
──対話:母親として、建築を育てる土壌になる
/遠藤幹子 [ザンビアのマタニティハウス]
材の輸入から施工まで責任を持つ、独自構法の家づくり
──対話:住宅づくりのシステムから変え、職能を拡げるプロトタイプ
/葛西潔 [木箱212構法]
豊かな建築は、豊かな人間関係があって初めて成立する
──対話:落日荘までの40年
/岩崎駿介
リスクを可視化し、合意形成のプラットフォームをつくる
──対話:住民が主体的に考え続けられる仕組みをデザインする
/日建設計ボランティア部 [逃げ地図]
エコ改修を通じて、地域の人と技術を育む
──対話:身近な感性を出発点に、建築士が社会に働きかける場をつくる
/善養寺幸子 [学校エコ改修事業]
領域を超えて建築の発意から運営までを総合的にプロデュース
──対話:事業の初期からジャッジし、デザインする職能
/斉藤博

論考2 「これまで」の前提から「これから」の前提へ /吉良森子

第3部 地域に入り、環境を守る

地域の魅力を可視化し、発信のチャンネルを変える
──対話:「文京区」のスケールを活かし、生態系をつなぐ
/文京建築会ユース
防災教育を通じて、地域と建築士を育てる「まち建築士」
──対話:建築士として防災に貢献しながら、地域に入り込む
/防災教育ワーキンググループ
調査と提言を通して、歴史的建造物の価値を地域と共有する
──対話:建築的価値を明らかにし、市民や所有者との共感を広げていく
/復興小学校研究会
震災、戦災で焼失したまちにアイデンティティを取り戻す
──対話:景観と防災を軸に、住民側にまちづくりの主体をつくる
/北斎通りまちづくりの会
まち並みを継承し、建物や樹木を思いやる一連のプロジェクト
──対話:土地の尊厳を守る一体的なコーディネートで景観を受け継ぐ
/稲垣道子 [深沢住宅地計画]
名作住宅を、多様な分野の連携で継承する
──対話:住宅遺産を継承する仕組みをつくる
/住宅遺産トラスト

論考3 生きた市民としての建築士 /倉方俊輔

おわりに ──「これからの建築士賞」立ち上げの現場から /佐々木龍郎