図説 建築法規


まえがき

 人々が集まって暮らし、相互に安全で快適な生活を営める社会を形成するには、様々な法令によって定められたルールが必要です。私たちの日常生活は、こうしたルールによって成り立っています。建築物も、建築基準法をはじめとする様々な建築関連法規に基づいて成り立っています。当然、私たちはこれらのルールを遵守しなければなりません。
 建築基準法は、社会情勢や時代的背景によって大きく影響を受けるものです。そうした時代の要請に相応するように法律が度々改正されることから、建築基準法及び建築関連法規は今後ますます複雑で多岐なものになっていくものと考えられます。
 そこで、本書は建築を専攻する学生や社会人諸氏が「建築法規」を学ぶためのテキストとして執筆したものです。本書は、著者が永年大学の講義で培ってきたノウハウを活かして、できるだけわかりやすい文章表現に努め、建築基準法の条項順に沿ってタイトルを並べ、法文にできるだけ条項を加筆し、かつ図と表を多く取り入れるなど法文の内容を的確に理解できることに重点を置いた構成となっています。
 法令を理解するには、法令の目的・趣旨を十分把握することが大事です。そのためには、法令の原文を何度も読みながら理解していくことが必要です。しかし、法文は小説を読むような訳にはいきません。この法文を読んで理解するのが至難の業であり、難しいことだと思います。そこで、その理解を手助けする手段として、本書を活用していただければ幸いです。
 なお、本書は大学・専門学校などの講義、建築実務家の方々の初期の研修や建築士試験の受験準備にも、有効に活用していただけるものと確信しています。

小嶋和平