ようこそドボク学科へ!
都市・環境・デザイン・まちづくりと土木の学び方


 こんにちは。ドボクの世界へようこそ。

 え、別にドボクの世界に入ろうと思っているわけじゃないけど、という人もいるかもしれない。まあ、あまり気にしないで。ともかくこの本を手にとってページを開いてみたのだから、なんとなく「ド・ボ・ク」という語が気になったわけだ。ちょっとした縁だと思って、もうすこし、読んでみてほしい。
 多分「土木」という言葉を聞いたことがないという人はいないだろうし、皆何らかのイメージを持っているだろう。職業のひとつとして。あるいは理工系学問のひとつとして。見方によっては「建築」と近いような、はたまたまるで違うような。でもまあ、とにかく“何かものをつくる仕事”という理解は共通しているはず。それも小さいものでなく大きいもの。体を使って、機械を使って、ときに泥にまみれて。
 はい、その通り。でもじつはそれって、「土木」のほんの一面でしかないのだ。
 この本は、大学などでドボクを学ぼうとする人から、「あれ、もしかするとここってドボクだったの?」と学科に入ってから感じている人、さらには、何だかよくわからないけれど、もやもやっと、建築・建設・まちづくり・環境・都市・デザイン、なんていう言葉に興味がある人、そんな人たちに向けて、「土木」を超えた「ドボク」の魅力をお伝えし、それを学ぶためのお手伝いをしようという本だ。ドボク的マインドをもった元気な先輩達総勢74名が書いてくれた。
 なお、先行して『ようこそ建築学科へ!』という本が同じ学芸出版社から出ている。この本は文字通りその姉妹本である。進学に際して、土木と建築の違いがよくわかっていない人も多い。読み比べてみるのもよいだろう。土木は、建築以外にも環境系の学科との接点も多い。そもそも現代では、学問の領域がどんどん混ざり合い、広がっている。ひとつの学問分野で完結させることのほうが難しい。だから、ドアの前でうろうろしていても何も始まらない。先ずは扉を開けて前に進むことだ。
 そう、この本を手に取ったのも何かの縁。この本をきっかけにして、ぜひあなたの自身の目で、あなたならではのドボクの世界を発見し、広げていってもらえればと思う。

佐々木葉