路地からのまちづくり


あとがき

 すべては無に始まり有に還る。
 今日まで数々の素晴らしいクライアントに恵まれ、多くの仲間に支えられてきました。そして依頼された仕事をひとつひとつ丁寧に積み重ねていくことを心掛けて建築に取り組んできました。そのおかげで100+1番目の建築が自邸となって実現しました。気がつけば無有建築工房を始めて30年近くが過ぎ、全ての仕事に全力を投入したつもりでしたが、振り返って見るとまだまだ詰めたりない点ばかりが目につき、建築の深さを思い知ります。建築が建ち上がり、自分の手から離れていくとき、私は自分を見つめる旅に出ます。建築への思考はどこから始まり、どこに還ろうとしているのかを探しに出るのです。そして自邸を折り返し地点に、今後もさらに新たな建築の可能性を求めて努力を重ねていきたいと思っています。
 最後になりましたが本書がこのように出版できましたのは、出版を勧めて下さり、辛抱強くお付き合い戴いた学芸出版社の知念靖広さん、中木保代さん、構成にご協力戴いた柳沢究さん、そして写真を提供して戴いたカメラマンの絹巻豊さん、多比良誠さんのおかげです。さらに膨大な資料をまとめて下さった事務所の木林えりかさん、共に設計活動に携わってきた事務所のスタッフおよびOB・OGの皆様、そして30年に渡り、終始私を支えてくれた家族に、深く感謝の言葉をお伝えしたいと思います。
 本当にありがとうございました。

竹原義二