住宅リフォーム計画


まえがき

 いま、快適性を求めるリフォームが盛んに行われています。技術の革新、経済成長などによって私たちの生活は豊かになり、住宅の老朽化した部分の補修だけではなく、両親との同居・子どもの独立など、ライフサイクルの変化への対応、便利な設備機器の導入や住空間のデザイン変更など、住まいに対する価値観も変わってきています。
  このような個人的な生活要求のほかに、これからの日本の住宅問題や地球環境問題の観点からも法規制がリフォームしやすい方向へ改正されるなど、リフォームの重要性が見直されてきています。そのようなリフォームを行う技術者は、新築よりも知識と経験が必要であり、いま、リフォームについて的を絞り、全体を把握できる手引書的なものが必要であると考えました。
  本書では、まずリフォームの重要性をこれまでの住宅・社会・生活などの変化から把握し、現在のリフォームの動向、リフォームの際に必要な法知識や制度、住宅性能の要点を示し、その上で具体的な実践方法と事例を述べ、より良い住生活・住環境の実現が可能になるような内容構成としました。
  これらの内容についてはもっと取り上げるべき事項なども多々ありますが、本書は入門編として全体像を理解することを主眼に置き、興味のある内容、掘り下げたい内容が出てきた方は、参考文献・資料として取り上げている本を参考にして読み進め、知識を深めていってほしいと思います。多くの方が本書を機会にリフォームへの造詣を深め、多くの成果をあげられることに役立てれば幸いです。
  内容の編成にあたっては、大学の住居学・建築学を学ぶ学生が自主的に学習を行い、リフォームの基礎知識を習得するための手引書となることを意図して始められましたが、その他に専門学校、短大の学生および若い実務家に至るまで幅広く利用してもらえるように考慮しました。
  発刊にあたり、出版を引き受け積極的に援助いただいた学芸出版社社長をはじめ、編集部の皆さんに心からお礼を申し上げます。

2006年 春
著者一同