建築のウンチク


書 評
『新建築住宅特集』((株)新建築社)2005. 4
  駄洒落のようなタイトルからも察せられるように、数字や表が並んだいわゆる工学書らしいところは全編を通じてほんのわずかで、著者いわく「小説風?の工学書」が目指されている。「ふすま・障子はなぜ右手前か」から始まりモノゴトの右・左について語られた章、境界線についてなど建築法規を平易に述べた章、建築において何かとお世話になる三角形や45度に関する章、最後に建築士試験を想定した「頭の体操」の章、という章立てで、雑多な内容が束ねられている。ネクタイの斜線の柄や洋服のボタン穴についてなど、一見建築と関係ないような身近なものの観察を含むウンチクや、根気づよく歩いて集められた実例写真が楽しい。

『室内』((株)工作社)2005. 3
  著者の山田修さんは、建築・設計業に永く携わってきた。その中で、建築関係の法令集はどうしてこんなに分厚いのかと、永年思っていたという。近ごろ世の中で人気を集めているTVや携帯電話、そして家具は、よりコンパクトで、軽量化を目指している。それなのに、法令集だけは、より複雑により重くなっているからだ。そこで、法の意味や起源を簡単に説明し、もっと建築を身近に感じてもらおうと本書をまとめた。
  「ふすま・障子はなぜ右手前か」「建築物は法の傘下で立っている」「45度の斜線は建築の核である」「頭の体操をしよう」と題して、4章に分かれている。いずれの章も、日頃の習慣を取上げ、その中に秘められた建築の根本原理や発想を解説する。
  山田さんが町中を歩き回って探した実例写真も数多く収められているのがいい。一見どこにでもある建物ばかり。けれど実は、どれにも興味深いエピソードが詰っている。