事例に学ぶマンションの大規模修繕


書 評


『建築士』((社)日本建築士会連合会) 2002.6
 マンションの維持管理は社会的にも重大な関心事です。我が国のマンションには約1,000万人が居住していると推計されています。築25年を超えるものが50万戸にもなって、維持管理の問題が重要な課題となっています。しかし一般的にはマンションの仕組みや区分所有法を理解している居住者は甚だ少ないようです。
 本書では少数事例のサクセスストーリーではなく、数多くの事例を提供し、様々なマンションの大規模修繕の参考になるよう配慮してあります。
 第1章では、マンションの大規模修繕計画に対する基本的な取り組み方について、長期修繕計画の目的・策定・見直し、修繕積立金の目安、及び修繕工事の各プロセスで発生する問題点・留意点が解説してあります。第2章では実施例を用意し、経緯と特徴として各事例の準備、工事内容の検討、施工の順に説明してあり、いろいろと参考になる内容です。第3章では事例を踏まえて各プロセスでの検討事項、問題点、留意点を解説してあります。そして管理会社・建築設計事務所・施工会社・専門工事会社などをパートナーとした時のメリット・デメリットについても解説してあります。特に維持管理上問題の多い小規模マンションを取り上げ、管理運営上の難しさと大規模修繕工事を進める上での留意点についても解説してあります。
 実際にマンションの大規模修繕を行うにあたって建築士が専門家として関わる場合には、様々な知識と経験を発揮しなくてはならないでしょう。どのような大規模修繕を行うかによって、管理組合と所有者の満足度が左右されるはずです。そのためには本書はとても参考になる内容のため、実務にはかかせない一冊です。
(上村公仁隆)


『建築士事務所』((社)日本建築士事務所協会連合会)  2002.3
 さまざまなタイプのマンションで実施された大規模修繕工事から25例を精選し、管理組合が工事に取り組むときに最も大切なパートナー選びから、工事予算の目安、竣工後の検査やケアまでのポイントを具体的に示した初めての事例集。小規模マンションにも対応しており、設計事務所にも役立つ。









 あなたは人目(2001.8.20〜)の訪問者です。