福祉・住環境用語集

　

　周知のごとく、わが国は世界に類を見ない急速な人口の高齢化が進んでおり、2020年には国民の4人に1人が高齢者という本格的な高齢社会が到来することが現実味をおびています。高齢社会においては、全世帯の4割に高齢者が含まれると予測されます。
　そして身体に障害をもつ人たちも従来から相当数おられ、わが国では1981年の「国際障害者年」前後から、障害をもつ人や高齢者の生活に対する考え方が急速に変化しはじめ、これらの人たちの生活に支障を及ぼす障壁（バリア）をもたらす物的環境を除去し、いわゆるバリアフリーの仕組みが積極的に形成されようとするようになり、1994年には「高齢者・身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」いわゆるハートビル法が施行されました。しかし、このような人にやさしいバリアフリーの社会的環境の実現には、国民全体で一層の努力を必要とするわけです。
　このため、バリアフリーの社会的環境の達成の一助になればとの思いを込めて、かつ、近年創設された資格「福祉住環境コーディネーター」の受験に対応する参考書をも兼ねたものとして、浅学非才の身をも顧みず本書を編纂した次第です。本書がいささかなりとも皆様方のバリアフリー社会実現のための勉強のお役に立てば幸甚です。
　なお、執筆にあたっては多くの著書、文献資料を参考・引用させていただきましたが、巻末にそれらの書名・文献名を掲げてそれぞれの先輩各位に深く感謝の意を表するとともに、最後になりましたが、本書編纂にあたり、終始懇切なるご指導を賜り、監修の労をとっていただきました関西大学教授、荒木兵一郎先生のご尽力に深甚の謝意を表する次第です。

　　1999年10月

中井　多喜雄