東大の構想

西村幸夫



医学部

 今、再開発をやっているのは医学部です。医学部の外来棟が新しくなりました。バス通りから見て左側が古い建物で右側が新しい建物ですが、正面はわりと似たような形で出来ています。あの奥でとても大きな再開発をやっております。病棟、研究棟が再開発されて東洋でも有数の規模の病院になるようです。しかも病院の診察システムが大学病院として日本で一番進んだものになっています。受付をするとポケットベルを持つのです。だから部屋の前で呼ばれるのを待たないで自由に食事にもいけます。ポケットベルが鳴るまで何処にいても良いのです。
 医学部はもうひとつ新しい建物を建てます。赤門を入って正面が医学部の本館ですが、そこを右に曲がると空き地があります。ちょっと前まで東大の120周年記念の丸い建物が建っていたところです。あそこに低層と高層の建物を建てます。代わりに一本本郷通りよりの建物を取り壊すことになります。その建物も本当は良い建物だと思いますが。


法学部

 安田講堂の前にある法文1号館、2号館は保存される建物になっていると先ほど言いました。あの建物は中も変えません。法学部が入っているのですが、保存されると床面積を増やすことが出来ないわけです。床面積を増やしたければ別のところに行かなければいけない。しかしそうなると権威の象徴といっても良いあの場所から離れなければいけないという、二者択一を法学部は迫られたのです。
 最終的な結論は「動く」ということです。ずっと先のことですが、一番北のはずれの地震研がある辺りに移ることになりました。そこで、今、法学部があるあたりは博物館になる予定です。ちゃんとした博物館がようやく出来ます。
 一番北へ行って不便じゃないかと思われるかもしれませんが、最近、地下鉄南北線の駅が出来て便利な場所になってきました。そういうような長期構想があります。


緑の軸線構想

 それからもうひとつ、先ほど東大のプランは十字のプランだと言いましたが、もうひとつ大きなコンセプトがあります。東大の南北に大きな緑の軸線を通そうというものです。法文1号館と2号館の所にアーケードがありますが、あのアーケードをくぐってずっと南に行きますと医学部の所まで緑地が繋がっています。一番南側には「懐かい徳とく館かん」という和風建築があります。逆にアーケードを通って北側に行くと、工学部6号館の前を通って、農学部へゆけます。グラウンドを越えて一番北まで行く軸です。
 このように東大キャンパスの北から南に大きな緑の軸を貫くというのがキャンパス計画のもう一つのコンセプトです。昭和18年から20年にかけて東大総長だった内田祥三先生のプランです。それはかなりの部分で実現しています。軸に対していくつかの緑地がぶらさがる形になっています。三四郎池もその軸からぶら下がっています。安田講堂の前の空地もそうです。それを越えますと工学部1号館の前のスクエアがあります。そこもその軸から入れます。
 その軸を将来的には強化したい。北側にある昭和30年代の建物である工学部8号館や7号館の辺りも整理し、軸を通してゆきたいと考えています。そうして「なるほどここには大きな軸を通そうとしたんだ」と実感出来るようにしたいと思います。
 三船 それでは最後に西村先生に、これからの方向性についてお話をお伺いしたいと思います。
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