ワールド・カフェから始める地域コミュニティづくり

香取一昭 ・大川 恒 著

内容紹介

創造性に富んだ会話ができる場とプロセスから、新たなチームやコミュニティが生まれてくるワールド・カフェ。これまで2000人以上のファシリテーターを養成してきた著者が、ワールド・カフェを活用した地域コミュニティづくりを行っていく際のポイントと手順、カフェ終了後の展開について、多様な事例を交えて解説する。

体 裁 四六・200頁・定価 本体2000円+税
ISBN 978-4-7615-2661-0
発行日 2017/11/20
装 丁 上野かおる


目次著者紹介はじめにおわりにイベント

1章 コミュニティが生まれる土壌をつくるワールド・カフェ

1 今なぜ新しいコミュニティが求められているのか?
2 今求められている地域コミュニティとは
コミュニティのあり方が変わった
21世紀型コミュニティの特徴
21世紀型コミュニティのキイパースン

コラム1 ナレッジブローカー知の媒介役:ファシリテーター 石山恒貴
コラム2 越境リーダー 三浦英雄

3 21世紀型〈地域コミュニティ〉
4 地域コミュニティのインフラとしてのワールド・カフェ
ワールド・カフェとは
〈地域コミュニティ〉に必要な会話とは?
〈地域コミュニティ〉とワールド・カフェ
ワールド・カフェが〈地域コミュニティ〉に拓く可能性

2章 ストーリーで学ぶワールド・カフェ〈企画立案編〉

寺岡市役所企画課・栗谷健、総合計画への市民参加を考える
ワールド・カフェ体験から企画運営チームの誕生へ
寺岡市民が参加するワールド・カフェを企画する
ワールド・カフェの会場を押さえる
ワールド・カフェの参加者を募る
てらおか夢カフェのテーマ設定
てらおか夢カフェの当日のプロセスが決まる
ワールド・カフェの問いを考える
当日のスケジュールをどうする?
役割分担の決定
もてなしの空間をつくろう!

3章 ワールド・カフェ当日の進行ガイド〈開催編〉

〈てらおか夢カフェ〉の会場の設営に取り掛かる
ようこそてらおか夢カフェへ!
てらおか夢カフェの進め方を解説する
流れの説明
カフェ・エチケットの説明
模造紙の使い方の説明
寺岡市民が10年後の夢を語り始めた
第2ラウンド開始前〈参加者の移動〉
第2ラウンド開始前〈第1ラウンドでの情報共有〉
第2ラウンドの話し合いのスタート
第3ラウンド開始前〈移動と情報共有〉
第3ラウンドの話し合いのスタートと終了
振り返りシートの記入および全体シェア
寺岡市民の話し合いは続く

4章 地域にコミュニティをつくるためのプロセスデザイン

STEP1 発起人グループが取り組む課題を決定し.目的を明確化する
STEP2 目的に賛同する人に呼びかけて.ワールド・カフェを開催する
STEP3 課題を解決する実行チームをつくり.外部を巻き込みながら活動を展開する
STEP4 定期的な話し合いの場をつくり、
活動状況の確認と次のプロジェクトの提案を行う
STEP5 コミュニティ・サポート・インフラで継続的な活動を進める

コラム3 OST

5章 ワールド・カフェをきっかけとした地域の本質課題への取り組み

1 未来に向けて新たな賑わいをつくるビジョンづくり
─ 桜井市本町通りと周辺まちづくり協議会
2 毎月開催!市役所職員が未来をつくる「しおラボ」
─ 塩尻市役所
3 「シゴト軸」のコミュニティづくり
─ 非営利型株式会社Polaris(調布市)
4 コスプレイベントで商店街活性化
─ チームこみぞー(宮代町)
5 日本全国各地に地域包括ケアの21世紀型コミュニティをつくる
─ 一般社団法人地域ケアコミュニティ・ラボ

香取一昭

組織活性化コンサルタント。マインドエコー代表。1943年千葉県生まれ。東京大学経済学部を卒業後、1967年に日本電信電話公社(現在のNTT)に入社。米国ウィスコンシン大学でMBA取得。NTTニューヨーク事務所調査役、NTTナビスペース社長、NTTメディアスコープ社長等を歴任。現在は、ワールド・カフェ、AI、OST、フューチャーサーチなど一連のワークショップ手法の普及活動を展開している。著書に『ホールシステム・アプローチ』『俊敏な組織をつくる10のステップ』など。

大川 恒

組織変革コンサルタント。株式会社HRT代表取締役、一般社団法人地域ケアコミュニティ・ラボ代表理事、ワールド・カフェ・コミュニティ・ジャパン(WCJ)代表。1961年北海道生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。シカゴ大学経営大学院でMBA取得。ワールド・カフェ、OST、AI、フューチャーサーチのファシリテーターの養成講座を開催するほか、地域コミュニティづくりの支援事業を展開している。著書に『ホールシステム・アプローチ』『俊敏な組織をつくる10のステップ』など。

まちづくりや地域活性化だけでなく、災害や介護、医療に、地域ぐるみで取り組むことが求められている現在、地域コミュニティの必要性が日本中から聞こえています。一方、オープンイノベーションなど、一企業組織を超えたテーマ型のコミュニティも最近はかなりつくられるようになってきました。

しかしながら、所属を超えてのコミュニティづくりは、内に閉じがちな組織文化を持つ多くの日本の組織において簡単なことではありません。創造性に富んだ会話ができる場とプロセスから新たなチームやコミュニティが生まれてくるワールド・カフェは、ビジネスだけでなく地域づくりにおいても数多く用いられてきています。

ワールド・カフェで話し合うことで、参加者全員がお互いの思いを伝え合い、ビジョンをイメージとして感じとることにより、参加者が協働へ踏み出す勢いやリズム、一体感が生まれてきます。ワールド・カフェは地域コミュニティづくりの起点、あるいは孵化器になります。

今、地域では、希薄になっている地縁コミュニティに変わり、取り組みたい課題をテーマにし、外部の方も入りやすいオープンなコミュニティが求められています。そのようなコミュニティをいかに形成するか、価値を生む創造的な活動をいかに継続的に実行していくかが重要です。

地域コミュニティづくりの主役は、あくまでも地域の住民と、その地域の組織で働いている人々(その地域に居住していない人も含まれる)であるということを著者たちは強く主張したいと思います。もちろん、外部の専門家などに助言を求めたりすることはありますし、その地域に深い愛着を持ち貢献意欲溢れる外部の方々の協力も大きな力になります。

コミュニティに参加する人の当事者意識と実践こそ、地域に活力を与え、課題を解決し、未来を切り開いていく源であるということを忘れてはなりません。補助金の消化として、その場限りのやっつけイベントを高額の外部ファシリテーターを雇って行うことが地方創生につながるとは到底思えません。

本書では、これまで2千人近いワールド・カフェの進行役(カフェ・ホスト)を養成してきた著者たちが21世紀型と呼ぶ新しいコミュニティについての概要、地域コミュニティづくりにワールド・カフェを取り入れる際のポイントと、コミュニティづくりのプロセスについて、事例も交えて解説します。

地域コミュニティをつくることに思いをはせる読者の方々が、地域の方々に呼びかけてカフェ・ホストとなってワールド・カフェを開催しコミュニティづくりへの第一歩を踏み出していくことを心から願っております。

某市役所では、総合計画立案のために市民参加型のワールド・カフェを90回近く開催しました。終了後にとったアンケートで市民から一番多かった要望は〈地域コミュニティづくり〉だったそうです。また、地域でコミュニティづくりをしていきたい全国の知り合いがどのように進めたらよいかわからないので悩んでいることも著者たちは知っていました。

本書に掲載されているようなコミュニティづくりにワールド・カフェを活かす支援を筆者たちは全国で行ってきました。また、2015年の時点で、本書に掲載したいくつかの事例がすでに進行中で、そこではコミュニティづくりにワールド・カフェが効果的に用いられていたのです。
そこで、ワールド・カフェを活かして、地域コミュニティづくりをしていきたい方に役に立つように、本書を執筆することにしました。

全国各地の様々な分野でのワールド・カフェから始まるコミュニティづくりの実践を5事例掲載できましたが、紙数の関係で、一部しか取り上げられませんでした。

本書に掲載した実践事例は、次の皆様のご協力と支援により可能になりました。大変お忙しい中、インタビューにご協力いただき、ワールド・カフェから始まるコミュニティづくりの事例をご紹介くださった以下の5名の皆様に心から厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

桜井市本町通りと周辺まちづくり協議会 岡本健
塩尻市役所 山田崇
非営利型株式会社Polalis 市川望美
宮代町役場 栗原聡
鈴木内科医院 鈴木央

また、この本を執筆するにあたり貴重なアドバイスを下さった学芸出版社の中木さんと、本書を購入し、ここまで読み進めてくれた読者の皆様に心から感謝申し上げます。全国で様々なテーマの地域コミュニティの創造が求められている今、本書が地域コミュニティづくりにお役立てることを心から願っています。

香取一昭、大川 恒

1/30@東京|ジュンク堂書店池袋本店
香取一昭・大川 恒・市川望美・栗原 聡
※終了しました

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