まちづくりの法律がわかる本

坂和章平 著

内容紹介

都市計画法だけを読んでも、まちづくりの法律はわからない!複雑・膨大な法体系に横串を通し、要点だけをわかりやすく解説。また、戦後の復興期から人口減少時代の現在まで、時代的・政治的背景も含めて読みとくことで、なぜ、どういう経緯で今の法体系になっているのか、実際のまちづくりにどう活かせるのかがわかる1冊。

体 裁 A5・192頁・定価 本体2500円+税
ISBN 978-4-7615-2643-6
発行日 2017/06/01
装 丁 KOTO DESIGN Inc. 山本剛史


目次著者紹介はじめに
はじめに

第1章 まちづくり法とは何か

1 まちづくり・まちづくり法とは
2 膨大なまちづくり法の体系
3 法律に根拠をもたないまちづくり(要綱事業)とは
4 日本のまちづくり法の四つの特徴
5 昭和43年都市計画法の特徴と構成
6 都市計画法の平成4年改正とそのポイント
7 都市計画法の平成12年改正とそのポイント
8 地方分権の推進・地方分権一括法の制定
9 地方分権一括法施行に伴う都市計画法の平成11年改正とそのポイント
10 都市計画区域VS都市地域・都市開発区域
11 都道府県が指定する都市計画区域
コラム1 『苦悩する都市再開発』(85年)と『津山再開発奮闘記』(08年)

第2章 都市計画法のポイント・その1-11種類の都市計画とその内容

1 都市計画法が定める11種類の都市計画
2 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針
3 区域区分(線引き)
4 都市再開発方針等
5 地域地区
6 地域地区のサンプル(1) 風致地区と特定街区
7 地域地区のサンプル(2) 景観地区と都市再生特別地区
8 用途規制と特別用途地区
9 都市施設
10 市街地開発事業
11 促進区域
12 遊休土地転換利用転促進地区
13 被災市街地復興推進地域
14 市街地再開発事業等予定区域
15 地区計画(基本型)
16 地区計画の変遷と5種類の「地区計画等」
17 都市計画の決定権者
18 都市計画の決定手続
コラム2 景観法と景観条例の活用を考える―観光立国の観点から

第3章 都市計画法のポイント・その2-開発許可と都市計画事業

1 開発許可とは(29条)
2 開発許可における技術基準とは(33条)
3 開発許可における立地基準とは(34条)
4 都市計画事業の施行者と認可
5 都市計画事業の施行(土地収用法の適用)
コラム3 『あの金で何が買えたか―バブル・ファンタジー』を考える

第4章 都市計画法と他のまちづくり法との関係

1 建築基準法の単体規制(規定)と集団規制(規定)
2 用途地域と用途規制(建基法48条との連動)
3 用途地域と形態規制(建基法52~56条の2との連動)
4 総合設計制度
5 一団地認定制度
6 特定街区
7 連担建築物設計制度
8 建築協定
9 土地区画整理事業
10 市街地再開発事業
コラム4 土地バブル対策とその崩壊を考える(1989年vs2017年)

第5章 成立した時代でわかる!まちづくり法のポイント

1 戦後のまちづくりの法と政策の時代区分・総論
2 第1期 戦災復興と国土づくりの時代(1945~61年)
3 第2期 池田内閣と高度経済成長の時代(1962~69年)
4 第3期 田中角栄と日本列島改造の時代(1969~77年)
5 第4期 三全総と低成長の時代(1977~83年)
6 第5期 中曽根アーバン・ルネッサンスの時代(1984~93年)
7 第6期 細川連立政権と復興まちづくりの時代(1993~96年)
8 第7期 橋本五大改革と土地政策大転換の時代(1996~01年)
9 第8期 小泉改革と都市再生の始まりの時代(2001~06年)
10 第9期 混迷政治と政権交代の時代(2006~12年)
11 第10期 安倍長期政権と新たな都市再生の時代(2012~16年)
コラム5 再度の政権交代と国土強靭化関連三法

第6章 人口減少・巨大災害時代のまちづくり法

1 国土総合開発法から国土形成計画法への大転換
2 人口減少と巨大災害を見据えた国土のグランドデザイン2050
3 大都市のリノベーションを目指す大都市戦略
4 コンパクト・ネットワーク型の国土形成計画
5 都市再生特別措置法の制定
6 都市再生特別措置法の再三の改正による新たな都市再生の展開
7 立地適正化計画と特定用途誘致地区(都市再生特別措置法H26年改正)
8 国際競争力・防災機能の強化とコンパクトなまちづくり(都市再生特別措置法H28年改正)
9 都市再生特別措置法の最新の全体像と各制度の進捗状況
10 特区制度と国家戦略特区法の新たな展開
11 災害・復興法制(1)東日本大震災からの復興法制
12 災害・復興法制(2)災害対策基本法の改正
13 災害・復興法制(3)大規模災害復興法
14 国土強靭化関連三法(1)国土強靭化基本法
15 国土強靭化関連三法(2)首都直下地震対策特措法
16 国土強靭化関連三法(3)南海トラフ地震対策特措法

おわりに

坂和章平(さかわ しょうへい)

1949年生まれ。1971年大阪大学法学部卒業。1974年弁護士登録。大阪モノレール訴訟、阿倍野再開発訴訟など、全国の都市開発に関わる訴訟を多数手がける。阪神大震災に際して復興まちづくりについて積極的に発言し、芦屋中央地区まちづくり協議会顧問として復興に携わる。都市計画法・建築基準法関係など著書多数。2001年『実況中継・まちづくりの法と政策』で日本都市計画学会石川賞(弁護士活動を通した都市計画分野における顕著な実践および著作活動)、日本不動産学会実務著作賞を受賞。

今やソフトな意味での「まちづくり」という言葉は定着していますが、都市計画法や建築基準法、土地区画整理法や都市再開発法、近時は都市再生特別措置法や国家戦略特区法、さらに東日本大震災後に次々と制定された復興法制と災害法制、そして国土強靭化基本法、首都直下地震法、南海トラフ地震法等々、200本以上に上る膨大なまちづくりに関する法律は理解するのが大変です。歴史的に考えても戦前のまちづくり法はともかく、「もはや戦後ではない」と言われた昭和37年以降の高度経済成長政策の中で近代都市法が確立しましたが、石油ショック、土地バブルとその崩壊、リーマンショック等の大波乱と阪神・淡路大震災、東日本大震災等の大災害の中、自民党を中心とした歴代内閣はさまざまな都市政策を展開し、まちづくり法は大きく変遷してきました。そして急速な少子高齢化が進む2017年の今、日本のまちづくり法は大きな転換期を迎えています。

都市計画法を学生時代に勉強した人は少なく、社会に巣立った後に必要に迫られて勉強する人がほとんどです。その典型は自分の敷地に家を建てるケースで、そこではじめて用途地域と用途規制・形態規制を知り、市街化区域と市街化調整区域の線引きや開発許可の意味を考えることになります。他方、時代が大きく変遷する中で「メニュー追加方式」によってチンプンカンプン状態になっている条文もたくさんあります。しかし、何事も基本が大切、原理原則の理解が大切です。「都市計画とは何か?」を出発点とした都市計画法の理解ができれば、まちづくり法体系の理解も可能だし、現在の到達点と今後の課題を明確にすることもできます。本書は、各項目ごとにエッセンスを抽出してわかりやすく解説していますので、一方ではその方面の専門家の論点整理用として、他方ではまちづくりの初心者の入門書として活用していただければ幸いです。

弁護士 坂和章平

建築・都市・まちづくりの今がわかる
ウェブメディア「まち座」
建築・都市・まちづくりの今がわかるウェブメディア「まち座」
学芸出版社では正社員を募集しています
学芸出版社 正社員募集のお知らせ

関連記事

メディア掲載情報

公開され次第、お伝えします。

その他のお知らせ

公開され次第、お伝えします。

関連イベント

開催が決まり次第、お知らせします。